<高校野球佐賀大会:唐津商2-0佐賀工>◇24日◇決勝

 佐賀の「がばいエース」が27年ぶりの甲子園切符をつかみ取った。最後の打者を打ち取り勝利を決めた瞬間、唐津商のエース北方悠誠(3年)はその右腕を高々と天に突き上げた。「昨日まで甲子園は全然考えていなかったです」と実感がわかないようだった。

 決勝は独り舞台だった。1回に2四球を出し2死一、二塁とするが三振で抑えた。2、3回は4者連続三振を取り、5回も3者連続三振。2安打に抑え12奪三振だ。

 「カウントを悪くしないため」と2ストライクに追い込むとリズムに乗ってズバズバと3球目で勝負を決めた。スライダーが決まり、相手打線を全く寄せ付けなかった。

 「今日は力が抜けてリズムよく投げられました。甲子園に行けたので100点です」

 この夏、初戦の1イニングを除いて、6試合57イニングを1人で投げ抜いた。準々決勝で佐賀西と引き分けた延長15回を1人で投げ抜き、翌日の再試合も完投。この夏の投球数は実に888球。「家に帰ってきても別に疲れた様子もなく普通でした」と父伸一さん(43)は話す。

 タフネス右腕も冬から春にかけては満足に練習できなかった。冬は腰を痛め走り込みができず、春は県大会準決勝の打席で負傷。右手人さし指の皮がえぐれ爪には血豆ができた。指先の皮が固まり、爪が元通りになったのは夏の開幕2週間前。それでも毎日5キロ、人の2倍走り込んで夏に備えた。「けがを乗り越えて気持ちが強くなった。落ち着いて見えました」と伸一さん。精神力で苦しい試合を乗り越えてきた。

 あこがれのマウンドが現実となった。「自分の直球がどれだけ通用するか試してみたい」。最速149キロの豪腕で全国の強豪をねじ伏せてみせる。【前田泰子】

 ◆唐津商

 1917年(大6)に私立校として創立。32年に県立校。生徒数は475人(女子276人)。野球部は34年創部で部員数52人。甲子園は春2度、夏は4度目。OBに元ダイエー投手の故藤井将雄氏ら。所在地は唐津市元石町235の2。岩本公章校長。

 ◆Vへの足跡◆

 

 

 2回戦9-0唐津西3回戦5-2北陵準々決勝2-2佐賀西

 

 

 

 

 

 7-3

 準決勝5-1佐賀学園決勝2-0佐賀工※準々決勝は延長15回引き分け再試合