<高校野球熊本大会:専大玉名1-0熊本工>◇26日◇決勝

 66年の創部以来、3度目の決勝進出で専大玉名がついに悲願を達成した。自然にあふれ出てきた喜びは、止めようがなかった。接戦を制した瞬間、ナインはグラウンドで歓喜に酔いしれる。スタンドからの地鳴りのような歓声が心地よかった。山本国臣監督(36)は「母校に勝って優勝するのが夢だった。生徒の指導への反発などいろいろあったが、ここまでこれて感無量。みんなよく頑張った」と目に涙を浮かべて初Vをかみしめた。

 「打倒熊本工」の執念だった。1-0で迎えた9回。7回途中から救援の園道工也(3年)が2死二塁で左前打を浴びる。あわや同点かと思われたが、見事な中継プレーで本塁で刺した。強豪に粘り勝ちしただけに、喜びもひとしおだった。

 8年前に監督就任した熊本工OBの山本監督だったが、道のりは楽ではなかった。甲子園出場した高校時代の経験を軸に厳しい指導を行ったが、選手が納得せず反発を招いたこともある。だが困難をクリアしていくことで、生徒の成長を感じてもいた。試合での怠慢プレーが原因で一時主将を外された田中将平(3年)は「キャプテンを外され目が覚めた。指導で成長できたことが大きかった」と振り返る。

 準決勝後、渡辺政春理事長(64)が「専大の付属として(東日本大震災で)被災した石巻専大の励みになるように頑張ってほしい」と激励。山本監督は「出るからには甲子園で勝つ」。さまざまな思いを胸に、さらなる新たな歴史を刻む。

 ◆専大玉名

 1949年(昭24)玉名英学院として創立。68年に現校名。男女共学私立校で生徒数は531人(うち女子177人)。野球部の創部は66年で部員数は65人。甲子園は春夏通じて初出場。所在地は熊本県玉名市岱明町野口1046。久和基利校長。

 ◆Vへの足跡◆2回戦2-0済々黌3回戦9-4水俣4回戦4-1有明準々決勝4-1城北準決勝5-4秀岳館決勝1-0熊本工