<全国高校野球選手権:組み合わせ抽選会>◇3日◇大阪国際会議場

 早くも火花が散った!

 第93回全国高校野球選手権(6日開幕)の組み合わせ抽選が行われ、南北海道代表の北海は2日目第2試合(午前10時30分開始予定)で明徳義塾(高知)と激突することになった。抽選会直後、平川敦監督(40)は敵将馬淵史郎監督(55)の質問攻めに遭い、タジタジになりながらも堂々と情報を公開した。

 北海の対戦相手は、電光石火で決まった。抽選会が始まって10分足らず、対戦ボードに入ったのは強豪・明徳義塾だ。最初のカード決定に場内がざわついた。インタビュールームに移動した平川監督は「やりたかったチームの1つ。相対的にレベルが高く、走攻守に実力が抜けている」。相手の印象を冷静に分析していると、隣にいた甲子園通算36勝の馬淵監督が話し掛けてきた。

 「玉熊君は3年生だっけ?」「最速は?」「変化球は何を投げるんだっけ?」「確かテークバックが小さいよな?」。エース玉熊将一(2年)について次々と質問してくる名将に、平川監督は苦笑いしながらも丁寧に対応。そして、さりげなく相手を持ち上げた。「神宮大会、センバツと試合を見ましたが、エースの尾松君はいいですよね」。すると、馬淵監督はすかさず「うちの打線は玉熊君を打てません。そんなに打力はない」と反論?

 した。平川監督は間髪入れず「センバツで(日大三のエース)吉永君を打っていたじゃないですか」。そんなやりとりの末「うちは玉熊の頑張りしかない」と最後はエースに期待した。

 一方で玉熊はすでに明徳との対戦に思いを巡らしていた。「打撃も守備もどちらもいい。長打力があるイメージ」。春はスタンドで明徳義塾の試合を観戦。4番北川倫太郎左翼手(3年)の破壊力は強烈な残像がある。それでも2日目となり「開幕日に近いのはやりやすい」と意気込んだ。

 抽選会前、ナインは豊中市内で調整。大阪入りして初めて走者を置いたシート打撃に汗を流した。玉熊も3日連続で投球練習を行うなど余念はない。北海道勢は高知勢に春夏7戦全敗。しかも明徳義塾は馬淵監督就任以降、夏は初戦敗退がなく12連勝中。そんな負のデータを吹き飛ばす使命が、ターゲットにされたセンバツ8強右腕に託された。【木下大輔】