<全国高校野球選手権:八幡商8-1山梨学院大付>◇7日◇1回戦

 八幡商(滋賀)が、白石智英内野手(3年)の満塁アーチで、山梨学院大付に大勝した。滋賀県勢の満塁弾は春夏通じて初めて。

 夕暮れが迫る甲子園で史上36本目のグランドスラムが飛び出した。3回1死満塁。八幡商の3番白石の打球は低い弾道を描いて左翼ポール際のフェンスの向こうへ飛び込んだ。頼れる主将の高校初アーチは、甲子園で滋賀県勢としては初のグランドスラム。「誰も僕が打つなんて思っていなかったので、みんなびっくりしていました」。白石は照れたように笑った。

 満塁弾に続いて、6回には1死二、三塁で外角直球を左翼線へ運ぶ2点二塁打。6打点と大暴れして15安打の打線をけん引した。「みんながつないで1点でも多く取りたかった。本塁打も二塁打も変化球を狙っていたけど直球にうまく反応できました」と大舞台でもノビノビ力を発揮した。

 1年前の夏は病院にいた。新チーム結成直後の8月13日、練習試合で死球があごを直撃。3カ所を骨折し、全身麻酔でプレートを埋め込む大手術を受けた。ギプスを着けて2週間入院。練習復帰までには1カ月かかった。流動食のような食事だけで体重は5、6キロ落ち、秋の大会では全く打てなかった。冬はトレーニングと食事でひたすら体重を増やした。「春からはクリーンアップを打ちたい」。夏に減った体重を元に戻し、春は5番に入り、夏からは3番。昨夏、病院のテレビで見ていた甲子園で、最高の結果を残せた。

 21年ぶりの校歌を歌い、次は強豪・帝京と対戦する。167センチと小柄だが「野球は体格でするんじゃないから」ときっぱり。強豪を倒して、初めての夏の2勝目を目指す。【前田泰子】

 ◆白石智英(しらいし・ともひで)1993年(平5)5月15日、滋賀・野洲市生まれ。小学3年から「野洲キッド」で野球を始め4番三塁として活躍。野洲中では「野洲ブレーブス」に所属し2年から4番に座る。50メートル走6秒5。遠投95メートル。167センチ、74キロ。右投げ右打ち。