<高校野球京都大会:立命館宇治10-0久御山>◇7日◇1回戦◇わかさ京都

 高校野球の地方大会は7日、18大会で開幕し、球児の夏が本格的に始まった。京都では、立命館宇治が開幕戦で圧勝した。

 昨夏京都大会決勝で敗れた立命館宇治に、今年はラッキーボーイがいた。5番一塁の港卓朗内野手(3年)が、四球、振り逃げ、死球と、無安打ながら全3打席で出塁。そのうち2度得点に絡んだ。守っても4回2死走者なしで高く上がったフライをはじいたが、横にいた西垣翔太投手(3年)がカバーしてノーバウンド捕球が完成。5回コールドで気持ちよく船出した。

 タイで野球を始めたという異色派だ。父哲朗さん(53)の仕事の関係で小3のときにバンコクに渡り、タイ人との合同チームであるリトル・リーグ「バンコク・サンダース」に入団した。「どうしても野球がやりたかった」。小5から中1までアジア予選に出場し、小5、小6で日本とも対戦。「日本には1コ上に松本剛さん(日本ハム)がいた。こんなすごい人がいるんだと思った」。日本へのあこがれを募らせた。

 帰国子女枠を使って立命館宇治に進学し、昨秋からベンチ入り。今夏が甲子園へのラストチャンスだ。北嵯峨、鳥羽、立命館宇治を計9度甲子園に導いた卯滝逸夫監督(63)は「このところ、当たっているんです」と、キーマンに指名した。【村野森】

 ◆港卓朗(みなと・たくろう)1994年(平6)7月3日、大阪・三島郡生まれ。父親の仕事の関係で小3からタイで生活。中高一貫のバンコク日本人学校5年のときに、リトル・リーグ「バンコク・サンダース」で野球を始める。高校から帰国し、立命館宇治に進学。2年秋からベンチ入りし、今春から背番号3。高校通算1本塁打。170センチ、65キロ。右投げ左打ち。