<高校野球宮城大会:石巻工9-1亘理>◇11日◇2回戦◇南郷

 今春センバツに出場した石巻工が、選手の急病に見舞われながらも、緊急布陣で初戦を突破した。

 石巻工のピンチを救ったのは、春を棒に振った高橋健太内野手(3年)だった。遊撃を守る小山裕太郎(1年)が9日に胃腸炎でダウン。急きょ、三塁手の奥津庸介(3年)が遊撃に回った。空いた三塁には、センバツ期間中の練習で右膝前十字靱帯(じんたい)を断裂した一塁手の高橋が入った。数回の練習試合しか経験がない位置で「横の動きがつらかった」と痛みに耐えながら5回までプレーした。

 手術を拒否して最後の夏を戦う。「切れたまま」の靱帯を補うため、筋トレを繰り返した。実戦復帰したのは6月上旬。サポーターとテープを巻いてグラウンドに立つ。「問題ない」という打撃では、初回に相手の失策を誘う“先制打”。3回には中前打で大量得点につなげた。阿部翔人主将(3年)は「(高橋ら)主力が戻ってきたのは大きい」と喜んだ。

 3回戦は強豪・東北との対戦が決まった。「夏が終わったら手術する」という高橋。今度こそ大舞台に立つために、負けるわけにはいかない。【鹿野雄太】