<高校野球北北海道大会:武修館3-2白樺学園>◇16日◇1回戦◇帯広の森

 不調の4番志賀義一塁手が復活し、エース伊藤が雄たけびを上げた。武修館の投打の軸が大車輪の活躍で、昨夏王者・白樺学園を撃破した。島影隆啓監督(30)は「北北海道を代表する学校ですが、同じ道東の私立として負けられないという気持ちはありました」と喜びをかみしめた。

 主砲が試合の流れを呼び込んだ。2回裏無死、先頭の志賀義が迷いなくバットを振り切った。「高めのストレートを普通に打ったら入りました」という公式戦初本塁打。うれしそうな表情の背番号15が、先制のホームを踏んだ。この夏、春につけた背番号3は剥奪された。打撃不調が原因で「甲子園に行かないと(3番は)つけられないぞ」と、島影監督からは奮起を促されていた。

 6月の練習試合では、ベンチから弟の和冴外野手(1年)が4番で起用される姿も見せられた。「悔しかったです」と巻き返しを期していた。復調のきっかけにも弟の存在があった。「打撃フォームをまねしました」。周りからは「弟をまねるのか?」と言われたが「打てれば何でもいい」とプライドを捨てた。甲子園出場でレギュラー番号を奪うため、なりふり構わない姿が、初戦4打数3安打1打点の結果をもたらした。

 主戦・伊藤も足をつりながらの“奮投”だった。6回表に異変を感じ、8回には1点差に詰め寄られた。「ここで抑えないと、甲子園には行けないので」と気迫の122球。1点リードを守り切ると、冷静沈着な男も思わず、ほえた。釧路シニアに在籍していた中学時代は北海道選抜にも選ばれ、国際試合も経験した背番号1が、強力打線の前に最後まで立ちふさがった。

 チーム一の巨漢87キロの4番と、南・北大会出場31校のエースで最も小兵な169センチ右腕の活躍で、大きな壁を乗り越えた。【木下大輔】