<全国高校野球選手権:浦添商6-4愛工大名電>◇10日◇1回戦

 注目左腕に打ち勝ち、投げ勝った。浦添商(沖縄)・宮里泰悠投手(3年)が、「ビッグ3」として注目された愛工大名電(愛知)・浜田達郎投手(3年)から右中間へ先制本塁打。投げては先発&救援で合計6回6安打2失点と、投打に初戦突破の原動力となった。

 エース宮里が、大会屈指の左腕に先制パンチを浴びせた。2回、愛工大名電の浜田が投じた外角直球を右中間スタンドへ運んだ。「直球にヤマを張っていました。自然と体が反応した。右方向の本塁打なんて初めてです」。沖縄大会に続く2試合連続アーチは公式戦4号だが「浜田君から打った本塁打は全然違います」と声を弾ませた。貴重な1発で試合の流れを引き寄せた。

 マウンドでも、帽子に書き込んだ「闘志前面」の文字通り、気迫あふれた投球を見せた。直球は自己最速に1キロと迫る141キロの直球で内角を鋭く攻めた。だが、4回に守備の乱れなどもあって2失点。5回先頭に安打を許したところで、2番手の照屋と交代し右翼へ下がった。「外野から見ると甲子園はすごく気持ちよかった。もう1度登板があると思ったんで気持ちを落ち着かせました」。予想通り、8回無死一塁で再登板し、相手の追撃を振り切った。

 照屋とは小学生のころからの幼なじみ。高校進学時に他の学校を希望していた照屋を「2人で浦商で甲子園に行こう」と誘い、一緒に同じ夢を目指した。照屋は最速151キロのプロが注目する投手に成長したが「自分は速い球は投げられないから」と制球力と球のキレで勝負する。沖縄大会もすべて2人の継投。お互いに「あいつがいなかったら、ここまで来られなかった」と認め合ういいライバルだ。

 強豪を破って勢いは加速する。「甲子園へ行く夢は、勝つ夢に変わりました」と宮里。2勝目、3勝目と夢に終わりはない。ライバルでもあり親友でもある仲間と1つずつ夢をかなえていく。【前田泰子】

 ◆宮里泰悠(みやざと・たいゆう)1994年(平6)10月24日、沖縄市生まれ。小2のとき「諸見スワローズ」で野球を始め投手。6年のとき県大会出場。コザ中では野球部に所属し3年のときエースとして県大会出場。高校では2年夏からエースとなった。沖縄を拠点に活躍するバンド「HY」の宮里悠平は親戚。177センチ、80キロ。右投げ右打ち。