<高校野球千葉大会:稲毛3-2横芝敬愛>◇12日◇1回戦◇千葉県総合SC

 稲毛の小沢勇仁投手(2年)が、“24色”のボールを投げ分け、横芝敬愛に勝利した。

 球速が遅い?

 変化球にキレがない?

 そんなの関係ねぇ~、と言わんばかりの24色幻惑投法で、稲毛の小沢が2失点完投。おまけにサヨナラ打を放つ大活躍で白星発進した。

 多彩な投球で相手をきりきり舞いさせた。上手、横手、下手投げを状況によって使い分ける。持ち玉は直球、カーブ、スライダー、シンカーだが、さらに各球種に緩急をつける。「3投法×4変化球×緩急=24球種」というわけだ。8回1死二、三塁のピンチでは右の4番打者相手に「内角が弱点」と判断。上手の直球を選択し、つまらせて中飛併殺で切り抜けた。

 4月までは横手投げ1本だったが、左対策として膝元に落とすスライダーの習得を大高剛監督(53)に勧められ、上手投げを取り入れた。変化球のキレがいい下手も導入。「最速125キロ、変化球はイマイチ。だから惑わせたかった」と3投法、全球種の投げ込みを2カ月続け、実戦に間に合わせた。

 9回を投げきり、同点で迎えたその裏2死一塁で打席が回ってくると「自分で決める」と気合を入れた。内野とセンターの間にしぶとく落ちるヒットで一塁走者が一気にホームイン。サヨナラ打まで放ってみせた。

 2年前、野球部OBの芸人小島よしおが海パン姿でスタンド応援し注目を浴びたが、監督いわく「現在、出入り禁止」。しかし、そんな先輩の声援がなくても、小沢が球場の視線を独り占めにした。【加藤雅敏】