<高校野球福岡大会:東筑3-1東福岡>◇22日◇5回戦◇筑豊緑地

 進学校旋風が巻き起こった。東筑は頭脳野球で優勝候補の東福岡に思うような打撃を許さず勝利。3年ぶりに8強入りした。筑紫は終盤に打線が爆発し青豊を8回コールドで破り、創部12年目で初の8強入りを果たした。両校は25日の準々決勝(北九州)で激突する。

 技術の差を頭脳でカバーした。東福岡の最後の打者を、力のない中飛に打ち取った。その瞬間、東筑の阿部悠太捕手(3年)はナインの誰よりも両手を高く上げ喜びを表した。「術中にはまってくれた」。27個のアウトのうち飛球は3分の2の18個。この日の舞台は両翼91メートルと狭い筑豊緑地で、長打力のある東福岡打線の打ち気を誘って、変化球を低めに集め微妙に芯をずらし、飛球を重ねた。

 溝尻夏吹(かぶき=3年)投手は、直球の最速は120キロで、変化球もスライダー、カーブのみ。それでも137球で、7安打浴びながら1失点完投勝ち。奪三振は0。残り9つのアウトは内野ゴロだった。徹底して守りを鍛えたチーム力が大一番で発揮された。

 3年生は3年前の準優勝を見て、入部してきた。しかし、2年続けて夏は初戦敗退。山部和範監督(38)は「迷った2年間だったが、また決勝にいった時と同じチーム作りに戻しました」と、昨夏、新チームになって2週間は打撃練習をせず、ひたすらキャッチボールを練習させた。しっかり捕って投げる。守れる自信がついた。

 打線も負けなかった。4回、1死二、三塁から4番樽谷雄大内野手(3年)が左翼へ先制2点適時打。打つ方でも、相手の配球の傾向を分析。少ないチャンスをものにした。

 夏の甲子園には96年以来遠ざかっている。体格は私立強豪にかなわないが、進学校らしく考える野球であと3勝を重ね、頂点に立つ。【石橋隆雄】

 ◆東筑と筑紫の進学先

 県内屈指の進学校、東筑は昨年実績で現役合格が東大2人、京大6人、九大62人。私立が早大5人、慶大2人と関東、関西へ、多くの合格者を送り出している。一方の筑紫も、昨年は京大1人、九大9人、早大3人、慶大1人と輩出。西南大98人、福岡大256人と県内の私学への進学率が高い。