<高校野球福島大会:聖光学院4-0いわき光洋>◇25日◇準決勝◇開成山

 聖光学院は、先発の2年生右腕今泉慶太が自身公式戦最長となる8回を投げ3安打無失点と好投。9回はエース船迫大雅(3年)が抑え、いわき光洋を下した。5戦で5投手が投げ、33イニング無失点と盤石の守りを武器に、8連覇に挑む。昨年と同カードとなった決勝は、今日26日午後1時から開成山野球場で行われる。

 決勝進出をかけた大一番。聖光学院の今泉は緊張していた。6回以外、四球か安打で毎回ランナーを出した。その度に顔を引き締め、腕を思い切り振った。直球、スライダー、チェンジアップと球種は少ないが、同じ振りから投げ分けるため相手に的を絞らせない。「高野さんがマウンドに来て『気の無いボールを投げるなら替えるぞ』と声をかけてくれた」。高野光輝捕手(3年)の巧みなリードを頼りに8回まで投げ、1度も三塁を踏ませなかった。斎藤智也監督(51)は「男らしいピッチングをしてくれた」と今泉の粘投をたたえた。

 夏の大会前にBチームからベンチ入りを勝ち取った“隠し玉”だ。決め手は大会直前のA、Bチームの紅白戦。今泉はBチームで先発完投。「怖いもの知らずで向かっていった」と4-3でレギュラー陣を抑えた。背番号17をもらった時は驚いたが「先輩のために必死に投げるしかない」。力強い腕の振りを持ち味に、この日を含め3戦14回無失点と貢献してきた。

 チームは今泉を含む登録5投手が代わる代わる投げ、大会5戦全てを完封で勝ち上がった。5投手のタイプ、性格を考えながら、それぞれの良さを引き出す高野の好リードも光る。

 今日26日の決勝は、智弁和歌山が05~12年にマークした戦後最長に並ぶ8連覇をかけて日大東北と戦う。昨夏決勝は延長の末に勝利も、秋の県大会では敗れ、県内連勝を「95」で止められた因縁の相手だ。練習を含め、投手5人全員が開成山のマウンドを経験済み。厳しい戦いを想定し、総力戦の準備は万全。今泉も「最高の準備をしていきたい」と投げる気は満々だ。相手スコアボードにさらにゼロを積み重ね、無失点のまま頂点をつかみ取る。【高場泉穂】

 ◆今泉慶太(いまいずみ・けいた)1997年(平9)8月23日、福島県郡山市生まれ。行徳小5年から郡山リトルで野球を始める。行健中では郡山中央ボーイズに所属。聖光学院では今夏からベンチ入り。183センチ、74キロ。右投げ右打ち。家族は両親、姉、弟。血液型A。