<センバツ高校野球:興南7-2智弁和歌山>◇29日◇2回戦

 興南(沖縄)のプロ注目トルネード左腕、島袋洋奨投手(3年)が11奪三振で強打の智弁和歌山を破り、初の8強進出を決めた。10安打を浴びながら1回戦の14三振に続き、2試合連続の2ケタ三振&完投。

 2度目の校歌を笑顔で歌った。センバツ初の8強入りを果たし、甲子園で2勝目を挙げた島袋は「何度歌っても、甲子園で歌う校歌はうれしいです」とマウンド上の厳しい表情とはうってかわってほおを緩めた。

 冷え切った甲子園の空気をトルネードで切り裂いた。強打を誇る智弁和歌山に10安打を許しながらも要所を抑えて2失点。特にクリーンアップは無安打7奪三振と完ぺきに封じた。プロ注目の智弁和歌山の3番西川遥から2三振を奪い、さらに4番山本は5打席連続三振。「相手の3、4番に打たれたら勢いがつくと思ったので意識していました」。3回無死二塁で西川遥に対して今季最速の141キロをマーク。力を入れて三振を奪いにいった。

 背中を打者に向けてから投げる独特なフォーム。「タイミングが取りづらい」と甲子園通算59勝の名将、智弁和歌山の高嶋監督をうならせたトルネードは、小さな体を補う工夫から編み出したものだ。小学6年のときの島袋は147センチ前後と小柄なエースだった。「コントロールは良かったけど、とにかく体が小さかったんですよ。だから体をいっぱいに使って投げようと、ああいうフォームになったんです」と小学生時代に指導していた慶田城の父広さん(47)は説明する。高校でもフォームを矯正されることはなく、沖縄を代表する左腕へと成長した。

 これまで甲子園で力を発揮できなかった打線が13安打7得点とエースを強力援護。「みんなに助けられました。守備も堅いので安心して投げられます」と島袋は仲間に感謝した。26日の1回戦関西戦で3大会目にして甲子園初勝利を挙げ「勝つのがこんなにうれしいとは思わなかった」と笑顔を浮かべたエースが、次は2年前の沖縄尚学以来の4強入りにチャレンジする。【前田泰子】