<高校野球広島大会:広陵15-3広島商>◇20日◇準々決勝

 優勝候補筆頭の広陵が名門広島商を撃破!

 これまで不振だった主砲有水啓(3年)の完全復活した広陵が15-3(6回コールド)の大差で広島商を下し4強に進出。いよいよ22日、決勝進出をかけ、尾道と対戦する。

 夏の甲子園出場22回(優勝6回)の広島商と同18回の広陵。広島市民球場は、内野席スタンドに立ち見客が現れるほどの熱気に包まれた。伝統の一戦は近年の勢いそのままに試合が進んだ。広陵は初回、1死から下川克史(3年)が死球で出塁。続く主将の林竜希(3年)が確実に送ると、4番石畑佳佑(3年)の中前打で難なく先制。その後も広島商に猛打を浴び続け、15-3の6回コールド勝ち。

 大量得点の中心は有水だった。新チーム発足以来、座り慣れた4番で大会に突入。だが“広陵の4番”が頭から離れず、自分を見失った。3回戦の広島市工戦は5打数無安打。7番降格で臨んだ4回戦の広島新庄戦では、3打数無安打後に代打を送られる屈辱を味わった。帰りのバスの中では悔し涙を流した。

 そして8番での広島商戦。2回に中前適時打、3回に右中間を深々と破る3点二塁打、6回2死満塁では冷静に四球を選んだ。2打数2安打5打点。日々の練習でも悔し涙をしばしば見せるが「その後はいつも吹っ切れる」(記録員の友森祐汰=3年)。

 猛打爆発での勝利に「有水の復活は一番うれしい。思いが強い子です。4番復帰?

 もちろんありえます」と中井哲之監督。前日はプロ注目右腕の中田廉(3年)が完全に復活。2年の福田正義もマウンドの雰囲気を味わった。そして主砲有水の打棒がよみがえった。優勝候補筆頭が、大会を追うごとに強さを増している。【佐藤貴洋】