<高校野球秋田大会:本荘10-5大館鳳鳴>◇21日◇決勝

 本荘が10-5で大館鳳鳴を下し、2年ぶり4度目の甲子園出場を決めた。2回1死二、三塁から、一昨年甲子園でベンチを経験した7番吉田大樹右翼手(3年)の2点中前打で先制。5回には5番土田泰斗中堅手(2年)が3ランを放つなど着実に加点した。5連投のエース左腕、池田恭介投手(3年)が11安打を打たれながら148球で完投。全5試合を1人で投げ切った。8月2日開幕の本大会で、悲願の初勝利を狙う。

 フワリと上がった打球が遊撃手のグラブに収まるのを見届けると、池田は大きく両手を広げた。次々と選手がなだれ込んだ。はじける笑顔の中、池田はもみくちゃにされた。「うれしかった」。一昨年、ボールボーイとして踏んだ聖地への切符を、その左腕でたぐり寄せた。

 中盤4回から突如、乱れた。「緊張して腕が振れなくなった。置きに行っていた」。点差が広がった影響があった。加えて、30度を超える気温。「暑さで疲れてきた」という。アイシングのバックに氷を入れ、首もとを冷やしたり、ぬれたタオルで何度も体をふいてしのいだ。

 終盤にかけて、次第に調子を取り戻した。連投能力には自信がある。年6回行われる、5日間の学校での合宿。まだ寒さの残る2月にも、その5日間で1000球の投げ込みを行ってきた。その効果がこの5戦に表れた。全5試合、665球を1人で投げ切った。

 そんな池田を、発奮させる援護射撃があった。2回に出た、7番吉田の先制打だ。「吉田の1本で頑張る気持ちが出た。助けてくれた」と池田。吉田はメンバー中唯一、一昨年の甲子園で控え投手としてベンチを経験。この冬までは同じ投手として、池田と競い合ってきた。今春から右翼手に専念。吉田は「1年春からライバルでした。恭介の刺激にはなったかな」と照れ笑いする。今大会準決勝まで13打数2安打と低調だったが、最後に力を発揮。2点先制打に加え、4回にはチーム3点目をたたき出す三塁打など、3打点の活躍に「恭介がここまで頑張ってくれた。バットでお返しできた」と胸を張った。

 2年ぶりの甲子園。ノーシードから頂点に立った。尾留川徹監督(48)は「1試合ごとに成長が見えた」と目を細めた。そんなチームに、聖地での目標がある。甲子園1勝だ。過去3度は初戦で敗退。2年前はチーム初の得点を挙げたが、追撃及ばず5-7で天理に敗退した。「絶対に1勝したい」と同監督。秋田県勢も97年に秋田商が勝利して以降、初戦10連敗中。悲願達成で2つの「負の歴史」に終止符を打ってみせる。【清水智彦】