<全国高校野球選手権:甲子園練習>◇3日◇甲子園

 第91回全国高校野球選手権大会(8日開幕)の出場校による甲子園練習が行われ、今春センバツ準優勝のプロ注目左腕、花巻東(岩手)の菊池雄星投手(3年)が登場した。センバツ決勝以来となる甲子園で気合の27球を投げ、マウンドの感触を確かめた。06年夏の甲子園決勝の早実-駒大苫小牧戦の激闘DVDを持ち込んで、「佑ちゃん&マー君」効果で東北勢初の全国制覇を誓った。

 みちのくの怪腕が聖地に戻ってきた。甲子園練習の残り5分、菊池はマウンドに上がった。「帰ってきたんだな、と思いました。でも、打たれた記憶がよみがえってきました。悔しさだけでこの4カ月、練習してきた」。0-1で清峰(長崎)に敗れた今春センバツ決勝以来の登板。「ラスト!」と叫んで投じたボールは、力んでワンバウンドとなった。「いいイメージで終わりたかった」と追加した1球が決まると、笑顔でマウンドを下りた。

 最後の夏、モチベーションを高め臨む。前日2日に神戸入り。宿舎には延長引き分け再試合の激闘となった06年夏の甲子園決勝のDVDを持ち込んだ。当時中学3年の菊池は、早実・斎藤佑樹(早大)と駒大苫小牧・田中将大(楽天)の壮絶な投げ合いに、テレビにくぎ付けとなった。「あれだけ高校野球で日本が沸いた。全国のみなさんに同じような感動を与えたいと思って」。名勝負を仲間にも見せ、チームの雰囲気を盛り上げる。

 5日の組み合わせ抽選で対戦相手が決まる。しかし菊池は「どこが相手でも、自分の投球をするだけです。もう1度チャンスをもらったので、もう1度日本一を目指したい。このチームで1秒でも長く一緒に野球がしたい」。東北勢初の大旗へ、夏の主役を独り占めする。【由本裕貴】