<高校野球南北海道大会>◇6月30日◇2回戦◇札幌地区予選

 昨年夏の南北海道大会覇者、札幌一が2年連続の甲子園へ好発進した。札幌地区予選2回戦で北広島西を5回コールド、10-0で下した。エースの須田貴一投手(3年)が19打者に無四球、9奪三振、被安打3の5回0封と文句なしの投球。昨夏の甲子園(2回戦の智弁和歌山戦)で敗戦投手となった悔しさを糧に、一回り成長した姿を披露した。

 昨夏の南北海道で節目のチーム通算100勝で甲子園出場を果たした札幌一が101勝目、2年連続3度目の甲子園に向け、力強い1歩を踏み出した。先発した須田は初回、先頭打者に中前打を浴び、送りバントを決められた後に、振り逃げの三振に盗塁も決められ、いきなり1死二、三塁の思わぬピンチに陥った。

 しかし、須田はどっしりと構え、落ち着いた投球で後続を右飛、三振に取った。2、3、4回は3者凡退。特に3回はキレのいいスライダーを武器に3者連続三振に切って取った。その後、5回に2安打を許したがしのいで無失点。ほぼ完ぺきの内容で初戦を終えた。

 自信あふれるエースの好投に指揮官の菊池雄人監督(38)の表情も緩んだ。「攻撃面では反省点もありましたが、須田はピンチでも周りがよく見えて、落ち着きがありました」。この夏を会心のゲームでスタートを切れたことを喜んだ。

 今春の全道大会1回戦で優勝した北海に延長11回、8-9と競り負けた。須田は9回4点差を同点にされ、最後は勝ち越された。その試合では13安打を浴び、制球力不足を痛感。南大会を勝ち抜くためには「一から下半身を鍛えるしかない」と夏に向けて十分に走り込んだ。

 須田は昨年夏の甲子園2回戦の智弁和歌山(和歌山)戦で5-5の同点で迎えた9回に救援した。140キロ直球を投げたが、勝ち越し打を許した。あと1イニング、あと1点の踏ん張りができなかった。「あきらめない気持ち、負けないぞという思いの大事さが分かりました」と昨夏の経験をしっかりと胸に刻む。

 菊池監督も「甲子園にはやり残したことがある」と02、09年夏の2度、智弁和歌山に挑んで跳ね返された高い壁を越えることをチームの目標とする。須田は敵に学んだ「あきらめない心」で1試合、1試合を勝ち抜いていく決意だ。【中尾猛】