年が明け、2108年がスタートしましたが、メジャー球界のストーブ市場の動きは、例年になく「小康状態」を保っています。昨シーズン終了後、FA(フリーエージェント)市場が解禁になって以来、ランク上位の選手で契約を終えたのは、フィリーズ入りしたカルロス・サンタナ(インディアンスFA)、ロッキーズと契約したウェイド・デービス(カブスFA)の2人くらい。先発陣のダルビッシュ有(ドジャースFA)をはじめ、ジェイク・アリエッタ(カブスFA)、野手組ではJD・マルチネス(ダイヤモンドバックスFA)、エリック・ホズマー(ロイヤルズFA)ら大型契約が見込まれる大物選手の行方は、依然として定まっていません。

 というのも、今季は各球団の財布のひもが例年より固く、お互いに出方を探るような流れになっているからです。特に、今オフはぜいたく税の対象となる総年俸の1億9500万ドル(約215億円)を超えないことを方針に掲げている球団が多く、軽はずみな「マネー合戦」を避けようとする空気が漂っています。たとえば、ダルビッシュに興味を示していると伝えられているヤンキースにしても、潤沢な資金力を持ちながら「相場が下がれば」という条件付きで動く、と言われています。さらに、マーリンズがスタントン、オズナ、ゴードンら主力選手を放出したように、依然としてトレード市場が活発化する可能性を含んでいるため、各選手の代理人も慎重に交渉を進めざるを得ないという事情も絡んでいます。

 もっとも、1人の大物選手が動けば、他の選手の動きも一気に加速し、次々にパズルのピースが埋まり始めるのがメジャーのストーブリーグです。

 動きが沈静化していた年末年始は、さしずめ「嵐の前の静けさ」というところでしょうか。

 今現在も大物選手が数多く残っているだけに、これからキャンプイン目前の2月中旬まで、メジャー球界は慌ただしい日々を迎えそうです。【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「メジャー徒然日記」)