過去に例のないほど動きが遅いメジャーの移籍市場が、ようやく活発になりそうな雰囲気になってきました。米国メディアが「クレイジー」「凍結された」と表現するほど、今オフのFA(フリーエージェント)市場は動きが鈍く、投手、野手とも多数の選手が「越年」しました。

 そんな中、昨季世界一のアストロズが13日(日本時間14日)、パイレーツからゲリート・コール投手をトレードで獲得したことで、先発投手市場が一気に動き始めるキッカケができました。同投手は、2011年にドラフト全体1位で指名された大器でもあり、過去5年間で通算59勝を挙げた実力者です。アストロズだけでなく、ヤンキースも獲得を検討していたこともあり、球界全体がその動向に注目していました。

 コールの移籍決定は、新天地が未定のダルビッシュ有(ドジャースFA)にも、少なからず影響を与えることになりそうです。というのも、ダルビッシュの移籍先としては、カブス、ツインズ、ヤンキース、アストロズのほか、古巣レンジャーズ、ドジャースの6球団が有力候補に挙げられていたこともあり、今回のトレード成立に伴い、アストロズの撤退は濃厚。となると、現時点では5球団に絞られたことになります。

 その一方で、ダルビッシュが自らのインスタグラムに、来季用(?)とも思われる新グラブの写真を掲載したことが、ファンの間でちょっとした話題になり始めています。黒革の新グラブの随所には青いラインがちりばめられており、チームカラーに青が入っているカブス、ドジャース、レンジャーズを意味するのではないか、などと臆測する声が出ています。言うまでもなく、グラブはまた新調すればいいわけで、まったく無関係かもしれませんが、何とも意味ありげな写真でもあり、ダルビッシュ自身が、移籍までのプロセスを楽しんでいるような気さえします。

 もっとも、メジャーのキャンプインまで残り1カ月あまり。そろそろ交渉も最終段階に入るはずです。米国時間1月15日の祝日(マーティン・ルーサー・キング牧師の記念日)までの3連休後、1週間から10日間くらいが、大きな「ヤマ場」となりそうです。【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「メジャー徒然日記」)