メジャーリーグの公式戦全日程が終了し、今季は「飛ぶボール」に変わったという声が聞こえていた通り、本塁打の年間最多記録を更新する6776本が全米各地で飛び交いました。これまでの6105本(2017年)を671本上回り、昨年からはなんと1083本増。史上初めてチーム本塁打数が300本の大台を超えるチームが現れ、30本塁打以上の選手が58人も出たのですから、空前の「本塁打依存野球」が広がったことになります。

実際、今年のプレーオフに進出した8球団中7球団が、チームの年間本塁打数ランキングの上位に食い込んでいます。

<1>ツインズ    307

<2>ヤンキース   306

<3>アストロズ   288

<4>ドジャース   279

<5>アスレチックス 257

<6>カブス     256

<7>ブルワーズ   250

<8>ブレーブス   249

この中で進出できなかったのはカブスで、13位のナショナルズ(東地区2位、231)が唯一の例外でした。

というわけで、今季のポストシーズンでも、本塁打が勝敗を左右するだろうとの予想が、米国メディアの中から出ています。本塁打はひと振りで得点が入るわけですから、試合の流れを変えたり、カギを握ることは言うまでもありません。

ヤンキースの大砲アーロン・ジャッジ外野手も「投手には少しタフだろうが、ポストシーズンでもそうなるだろうね」と、本塁打増の傾向は否定しません。

その一方で、27歳の若きリーダーは、ポストシーズンで勝つために必要なこともしっかりと理解していました。守備や走塁、ストライクゾーンを絞ることなどの要素を挙げた上で、「細かいことをやっていれば、より良いチーム、優勝できるチームになると思う」と、真剣な表情で話していました。裏を返せば、本塁打に依存しても勝てないことを、これまでに体験してきたからでしょう。

長打力を持ちつつ、細かいプレーをおろそかにしない-。

そんなチームが、プレーオフを勝ち抜き、ワールドシリーズで頂点に立つのではないでしょうか。【四竈衛】

(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「四竈衛のメジャー徒然日記」)