WBC侍ジャパンの壮行試合が始まり、各国代表も続々と来日して合宿を行います。いよいよ、3月5日の開幕へ、大会のムードが高まりつつあります。主催者は今回、さらに大会を盛り上げようと、開催地や試合の組み合わせなど、いろいろ演出における工夫も凝らしています。
まずは、日本の東京で開催される1次ラウンドC組の組み合わせです。これまで日本は初戦を中国などくみしやすい相手と行って来ましたが、今回は初戦が台湾、2戦目が韓国といきなり強豪が相手となる日程です。これは最初からいい試合を見せて、大会のムードを一気に盛り上げようとする、MLBがよくやる手です。
次に、今大会は初めて、米国のテキサス州ヒューストンで開催されます。全米4位の人口を誇る「世界都市」で、ヒスパニック系が約42%を占めます。それもあって1次ラウンドB組の米国-メキシコ戦は、1月15日のチケット販売開始から、わずか1時間足らずで完売。大変な盛り上がりを見せています。
また2009年の第2回大会以来、米国のフロリダ州マイアミで開催していますが、前大会に続いて今回も1次ラウンドから準々決勝、準決勝、決勝までの試合を行います。なぜなら、マイアミは「中南米の首都」とも呼ばれるように、人口の約半数がラテン系住民であり、米国だけでなく中南米諸国の試合も非常に人気があります。
実際に前大会で、マイアミでの試合は準々決勝以降すべてチケット完売でした。24年に同地で初めてカリビアンシリーズを開催した時も、史上最多の観客動員数を記録。今回のWBCも、1次ラウンドのドミニカ共和国-ベネズエラ戦がすぐにチケット完売するなど、日本に匹敵するほど熱気あふれる開催地と言えます。
日本は3大会連続して本国で準々決勝を戦って来ましたが、今回は順当に行けば、準々決勝からマイアミに乗り込んでの試合となります。それも、過去に全く対戦のなかったドミニカ共和国やベネズエラとの試合が予想されます。このあたりは、MLBがファンに目新しいカードを提供しようという考えです。
そして、不思議なことに、準決勝は4強のヤグラが示されていません。これは前大会で日本の準決勝の相手が、米国から変更されたことを考慮しました。そこで、今回は日本と米国が勝ち進んでも準決勝で戦うことを避け、決勝で「日米決戦」を実現させたい考えです。
このあたりは前大会で当時日本の栗山英樹監督が苦言を呈したように、いくらMLB主催といってもルールが途中で変わるのはあり得ないこと。それでもサッカーのワールドカップなどと違い、まだ歴史が浅い大会だけに、何としても大会を盛り上げようとする姿勢が感じられます。
いずれにせよ、前大会は史上最多の観客動員数130万人以上を記録。また、過去最高のテレビ視聴率や商品の売り上げを記録するなど、大成功を収めました。今回はそれ以上に、大会を盛り上げようと努力しています。
ただし、大会2度目の連覇を目指す日本にとっては、不利な日程と言えます。そのハンディをドジャース大谷翔平投手はじめ、史上最多の大リーガー9人も擁する侍ジャパンが、どう克服するかが最大の見どころです。【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)




