MLBはカージナルスがチーム内の新型コロナウイルス拡大によって、現地7月29日以降、試合ができていない状況が続く一方、その他のチームは60試合に短縮されたシーズンを無観客で継続している。そんななか10日、通信社ブルームバーグはいくつかのチームがスタジアムでのマスク使用状況を監視するシステム開発について交渉していると伝えた。

これはカリフォルニアに本拠を置くソフトウエア企業、エアスペース・システムズが開発しているもの。同社は2015年に無人偵察機用のセキュリティソフトの開発を主目的に設立された。その技術を転用し、カメラに映った区域にいる人々がマスクの着用の有無だけでなく、鼻を覆っていなかったり、顎に外していたりといった誤った使用状況を監視、判定できるシステムを開発中なのだという。既に80パーセントの確率で判定できるという。

同社のジャズ・バンガCEOはソフトは特定の領域がマスク誤用の「ホットゾーン」であると判断した場合、防護服を着た係員が無料のマスクを配布するため派遣するといった使用法が考えられるとした。ただしプライバシー保護の観点から顔の画像は即座にピクセル化するようになっており個人を特定することはなく、どう使うかも顧客次第だとも話している。

マスクの着用については世界中で論争が頻発している。最近までマスク着用の習慣がなかったアメリカではなおさらだ。そうしたこともあり、バンガCEOは「これをより大きな社会問題と考える必要があります」とし、「人々がマスクについて他人と対立するのは危険です。人々がどのように反応するかはわかりません。どう反応するかわかりません。それは機械的でなければなりません」と話し、対策の難しさを語っている。

実際にどのチームと交渉しているかについては同社とMLBの双方が回答を拒否したということだ。またこのシステムは来場したファンを対象にするのか、または選手やスタッフの状況を調べるために使われようとしているのかについてもコメントを拒否している。

たしかに非常にデリケートな問題だが、観客を入れての試合開催に向けて、さまざまな方策を模索する動きは今後も活発になっていきそうだ。