経営基盤が脆弱(ぜいじゃく)なマイナーリーグのチームは少しでも多くの収益を得るために、さまざまな施策を行うことが当たり前になっている。例えば、マーリンズ傘下のハイAチーム、ベロイト・スナッパーズは一晩ごとにスタジアムのネーミングライツ、命名権をネットオークションにかけている。1晩500ドルからで、平日だと1000ドル、週末の試合は1500ドルで即決できる。試合開始前に決まったスタジアム名が適切かどうか審査され、実際に採用されるかどうかが決定され、収益はボーイズ&ガールズクラブに寄付されるということだ。

やはりマーリンズ傘下のダブルA、ペンサコーラ・ブルーワフーズは昨年民泊サイトAirbnbでスタジアムを1泊1500ドルでレンタルしたことで注目された。今シーズンも犬と一緒に楽しめる試合や花火大会、さらには「海賊とお姫様」といったテーマを設けた試合などを組んでいる。また大学アパラチアン・リーグのダンビル・オッターボッツが、チームのツイッターのフォロワーが5000人に達したら、GMがチームロゴのタトゥーを入れると発表したりしている。現地21日現在フォロワー数は1700人弱にとどまっているが。

そんななか、野球そのものを変えてしまう改革を提案し、実施しているのが木製バットを使用する大学夏季リーグのコースタル・プレイン・リーグに所属するサバンナ・バナナズだ。ベースボールならぬバナナボールである。

バナナボールでは9人制で投手が捕手にボールを投げ、打者がそれを打とうし、3ストライクでアウト、フォアボールで塁に出る、打球がフェンスを越えたらホームランといったことは変わりがない。

ただ、イニングはホームチームがリードした時点で終了、各イニングの得点は1ポイント、先に5ポイント取ったチームが勝利となる。ファンがファウルボールを捕球してもアウト、フォアボールでも打者走者はアウトになる可能性があるため走らなければならない。試合時間は2時間制で、2時間経過した時点で同点なら打者と投手の対決によるタイブレークに突入するというものだ。

野球の概念をかなり外れたルールだが、試合時間が長すぎる、間延びしているといった現在の課題の解決にかなり踏み込んだものだといえよう。バナナスのジェシー・コール・オーナーは「私はファンを見ています。ノンストップのエンターテインメントでも、試合が終わったときには半分のファンしかいません。素晴らしい映画やコンサートでは、途中で帰る人はいません」とコメントしている。今シーズン、バナナスは4試合のバナナボールを予定しているが、全て完売したということだ。

これからも多くの観客を引きつけるための模索が続けられることだろう。