【アナハイム(米カリフォルニア州)23日(日本時間24日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(26)が、両リーグ最高勝率の難敵相手に右肘手術後最多となる105球の力投を見せた。ジャイアンツ戦に「2番投手」で出場し、6回6安打1失点。被安打は今季最多も9三振を奪い、最速は99・2マイル(約159・6キロ)をマークした。今季4勝目と日米通算50勝はお預けとなったが、2登板連続の中5日で粘投。チームは延長13回、投手陣が力尽きて3連敗を喫した。

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大谷はベンチでペットボトルの水をかぶり、一息ついた。気温27度。日差しの強いマウンド上で、ナ・リーグ防御率2位のガウスマンと投げ合った。「暑かったですけど、それなりに回は投げられた。ちょっと球数は多かったですけど、良かったかなと思います」。6回、18年5月20日レイズ戦以来、3年ぶりに100球を超えた。降板後はマドン監督と握手。髪の毛から水がしたたる中、充実した表情を見せた。

今季8度目の投打同時出場は、これまでとは状況が違った。マドン監督の方針ではベンチ要員が3人いれば、DH解除で大谷が打順に入る。主力アップトンの負傷で、この日は実質2人だった。「基本的には野手がしっかりといる状態でないと、監督的にもチーム的にも怖いところはあると思う」。仮にアクシデントや不調で序盤で交代した場合、救援投手が打順に入り、不利な戦いを強いられる。早期降板はできないチーム事情もあった中、粘り腰で6回を投げきった。

だが序盤は本調子ではなかった。「ちょっと体が動きづらい」。メジャー初体験の連続中5日登板。投げながらベストを探った。「日によって体調の良しあしはあると思う。シーズン中は普通かなと。そういう時に抑えられるのは1つ、いい選手になるための条件」。中盤はスライダーを多投し、5回に先制弾を浴びて以降は、最速160キロに迫る直球とスプリットで攻める本来の姿に戻った。「絶対に抑えたい場面ではあった」。5回2死から直球で空振り三振を奪うと、こん身のガッツポーズでほえた。

一方で、打者では3打数無安打2三振。ベンチ要員2人の“異例”の状況でもDH解除で打席に立った。「得点力という意味では必要とされてるのかなと思いますし、勝つために重要なピースとして起用してもらったのかなと思う。チームのために仕事ができなかった」。投手戦の末、延長戦で敗れた。悔しさを糧に次回、挽回する。

○…両軍14人の投手をつぎ込み、4時間51分の総力戦となった。12回、エ軍の捕手スズキが打者のファウルを防具に当て、交代。ところが、捕手スタッシは代打で起用済み。急きょ左翼手ウォードが捕手で起用された。既に野手を使い切っており、先発右腕のキャニングが左翼の守備に就いた。さらに12回2死一、二塁から投手ワトソンの打順で投手バンディを代打起用。空振り三振でサヨナラ機を逸した。13回、投手陣が7失点で力尽きた。