【ミネアポリス(米ミネソタ州)23日(日本時間24日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(28)がツインズ戦に「3番DH兼投手」で出場し、5回0/3を3安打2失点で14勝目を挙げた。4回にこの日4個目の三振を奪い、日本選手4人目のシーズン200奪三振をマーク。打者では7回に中前適時打を放ち、雨中の悪条件でも高い対応力でツ軍戦初勝利を飾った。同日に通算700号を達成した元同僚アルバート・プホルス内野手(42=カージナルス)の偉業をたたえ、自身は残り登板予定2戦で9イニングと迫った規定投球回到達へ突き進む。

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大谷は何度も右手に息を吹きかけた。試合開始時の気温は11.7度。小雨が舞い、時折、雨脚は強くなった。1回は3四死球が絡んで失点。寒さに雨も重なったが、耐えた。4回1死、6番サンチェスを縦に割れるカーブで三振。気合十分、球場に響くほどの声を上げながら今季200個目の三振を見逃しで奪った。「奪三振能力は1つの強みだと思うので、今年1年通してここまでこれているのは、いいことだと思います」。長所を生かし、着実に三振を積み重ねた結果だった。

歴代の大先輩たちに肩を並べた。「大きい節目の数字ではあると思うので、すごい光栄」と喜びながら、さらに理想を掲げた。「奪三振を取りながら、なおかつ四球を出さないのが一番大事」。変化にバリエーションがあるスライダー、新球ツーシームなど今や多彩な変化球を操り、打者を惑わせる。一方で、球数がかさむことも多い。「いろんな球種を投げられるのは強みですけど、型にはまったピッチングで押していくのも1つの引き出し。そういう意味で真っすぐが良くなかったというのは、今日の反省点」と課題を挙げた。

この日は、3度目となるメジャー自己ワーストタイの6四球。雨の影響もあり、三振の軸となる直球やスライダーが大きく外れることもあった。「おそらく自分好みのマウンド」と投げやすさを感じていたが、悪天候でぬかるみ、状態が悪い中での投球だった。だが、それを肥やしとするのが、進化を続ける二刀流のゆえんだ。「雨はもうしょうがないことなので、これから先まだまだ投げていきますけど、必ずこういう時もあるので、いい経験になった」。

6回無死一、二塁、サンチェスにフルカウントからストライクゾーン内に内角カットボールを投げきった。判定はボールで思わず頭を抱えた。満塁で無念の交代。それでも、無失点で切り抜けた救援左腕ループに助けられた。「ループさんに勝ちがついてもいいぐらいの展開だった。さすがのピッチングだったと思います」。14勝目をたぐり寄せ、初の規定投球回まであと9イニング。投打で「ダブル規定」到達の偉業はもうすぐそこだ。

▼大谷が7三振を奪って今季の奪三振数が203個。日本人投手のシーズン200奪三振以上は、19年ダルビッシュ(カブス)以来4人、10度目。大谷は153回で203奪三振で、奪三振率は11・94は現在両リーグ1位。2位はロドン(ジャイアンツ)の11・88。日本人のシーズン奪三振率は13年ダルビッシュの11・89が最高だが、ここまでは大谷が上回っており、記録更新も狙える。

 

▽大谷翔平の主な記録

◆200奪三振 エンゼルスでは10年ウィーバー以来12年ぶり11人目。打者としては34本塁打を放っているが、1900年以降の近代野球で、200奪三振以上の投手では最多。2位は65年ドライスデール(ドジャース)と66年ウィルソン(タイガース)の7本。

◆ダブル600 メジャー移籍後、初めてシーズン通算600打者と対戦。同一シーズンで投手として600人と対戦し、打者として600打席に立った選手は近代メジャー初。

◆ルース超え 14勝目。これまで34本塁打を放っており、1918年にベーブ・ルースが記録したダブル2桁の「13勝&11本塁打」の勝ち星も超えた。

◆今季ワーストも 与四球6は昨年5月5日レイズ戦以来、3度目のワーストタイ。7四死球も昨年4月20日レンジャーズ戦以来、2度目。全100球中でストライクは53球。ストライク率53%は、8敗目を喫した8月21日タイガース戦の55%を下回る今季最低。