【アナハイム(米カリフォルニア州)26日(日本時間27日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(29)の日本人初となる本塁打王獲得が決定的となった。

リーグ2位につけていたルイス・ロベルト外野手(26=ホワイトソックス)が左膝の負傷でシーズンを終え、37本塁打のホセ・アドリス・ガルシア外野手(30=レンジャーズ)は、この日のエンゼルス戦で3打数無安打。残り5試合で大谷の44本塁打を上回るには、5戦連続8本塁打のメジャー記録レベルでアーチを量産する必要がある。なお、各部門のタイトルはシーズン最終戦後に確定する。

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大谷が初のタイトル獲得をほぼ手中に収めた。ア・リーグの本塁打王。レギュラーシーズンの全日程終了は10月1日(日本時間2日)だが、他球団のライバル選手たちがメジャー記録に並ぶ、もしくはそれを超えるハイペースでなければ、追い抜かれることはない。2位で38本のホワイトソックス・ロベルトは左膝の負傷で離脱。3位で37本のレンジャーズ・ガルシアは3打数無安打。過去のデータから判断しても、日本人初の本塁打王は決定的だ。

メジャー6年目、ついにリーグの頂点に立つ。1年目は打者として過小評価を受けていた。鳴り物入りで期待されていたのは、どちらかといえば投手大谷。当時のエ軍の同僚でさえ、打者大谷がメジャーレベルの投手に対して、どれほど通用するのか未知だったという。度重なる故障や3年目の大不振も経験し、4年目は46本塁打をマーク。惜しくもタイトル獲得を逃したが、今季の独走ぶりは他選手を寄せ付けなかった。

2年前の21年はホームランダービーに出場し、優勝を目指しながら初戦で敗退した。同年はシーズン終盤で本塁打王が狙える位置につけ、タイトル獲得も意識した。自身が口にしていたように、意欲だけでは頂点には届かない。打撃で最も重要視する構えを安定させ、スイングスピードや打球速度を上げ、打席ごとにアプローチを変えた。相手は最先端のデータ分析で徹底的に戦略を立ててくる。技術とパワーだけでなく、他球団の投手から「スマートな(賢い)打者」と称される大谷は、間合いや駆け引きにも秀でていた。

もっとも、今季は不本意な形でシーズンを終えた。途中離脱でのタイトル獲得は理想ではなく、ライバルたちと最後まで戦い抜いた上で勝ち取りたかったに違いない。8月下旬に右肘を故障し、登板はできなくなったが、二刀流でプレーしながら獲得する本塁打王。日本人が長年、届かなかった境地へ、伝説的な歴史を刻む。

▼ア・リーグ本塁打2位のロベルトが負傷者リスト入りし、大谷が初の本塁打王に近づいた。3位ガルシアは7本差の37号。5位以内の選手は全員が残り5試合。MLBで5試合連続本塁打を打った選手では68年フランク・ハワード(セネタース)と01年バリー・ボンズ(ジャイアンツ)の8本が最多。4試合連発の47年ラルフ・カイナー(パイレーツ)も8本打っている。日本で5試合では8発が最多で79年スコット(ヤクルト)84年クロマティ(巨人)05年ガルシア(オリックス)05年ウッズ(中日)23年岡本和(巨人)の5人。