<ア地区シリーズ:ヤンキース3-2オリオールズ>◇第3戦◇10日(日本時間11日)◇ヤンキースタジアム

 ヤンキース黒田博樹投手(37)が、ニューヨークの熱狂的大歓声を浴びた。ヤ軍の日本人投手として初めてポストシーズンに先発。大一番のマウンドに「ビッグイニングをつくらない。先取点も一番取られたくなかった」と気合を入れて臨んだ。だが3回に8番の新人フラーティに先制を許すソロ被弾。その裏に味方が同点に追いついたものの、5回には9番の新人マチャドにも甘い変化球をソロ本塁打された。

 それでも「粘り強く投げていれば(いい流れになる)と信じて」と気持ちを切り替えた。5回2死から打者11人を連続凡退させる力投で、9回先頭を一直に打ち取ったところで105球で交代。5万人を超える大観衆からスタンディングオベーションを受けマウンドを降りた。1点リードされての交代に「責任をまっとうできなかった」と満足していない様子だったが、ジラルディ監督は「素晴らしい投球だった」と褒め、女房役マーティンは「ツーシームとスライダーがよかった。2失点なら上出来だよ」とねぎらった。

 9回途中までを5安打2失点で試合をつくり、クラブハウスでアイシングをしている最中に劇的なサヨナラ勝利。「球場で見たかった。ちょっと漫画の世界というか。神懸かり的」と興奮冷めやらぬ表情だった。【水次祥子】

 ▼黒田がポストシーズンの日本人投手では最長となる8回1/3を投げた。過去最長は08年松坂(レッドソックス)がレイズとのリーグ優勝決定戦で記録した7回0/3。日本人投手がリーグ優勝40度の名門ヤンキースに所属してポストシーズンで投げるのは、99年リーグ優勝決定戦の伊良部以来2人目。伊良部は2番手で救援登板しており、ヤ軍で先発は黒田が初めて。