<ヤンキース6-4ドジャース>◇第1試合◇19日(日本時間20日)◇ヤンキースタジアム

 ヤンキース黒田博樹投手(38)が、古巣ドジャースを相手に33日ぶりの白星をマークした。ダブルヘッダー第1試合に登板し、制球に苦しみながらも6回2/3を投げ8安打2失点で今季7勝目。5月17日のブルージェイズ戦以来6戦ぶりの白星はメジャー計28球団目からの勝利で、29球団の記録を持つ野茂英雄氏超えも見えてきた。

 黒田が古巣相手に苦しんだ。良い投手を先に投げさせたいという首脳陣の意向で急きょ、ダブルヘッダー第1試合に登板。立ち上がりから「変化球がまったくダメだったんで、苦しい投球」だった。気持ちで補う。4回先頭から連打され無死二、三塁とピンチを迎えたが、自身の正面に飛んだ強烈な打球に瞬時に反応して捕球。投直から素早く三塁走者を刺す見事なフィールディングで併殺を完成させて珍しく気合のこもったガッツポーズを見せた。

 巧みな投球術で、6回まで相手打線を無失点に抑える。7回は1死満塁のピンチで犠飛と適時打を浴び2失点したが、3-2と1点リードを守り6回2/3で降板。5月17日のブルージェイズ戦以来の白星に「いくらいいピッチングをしても勝ちが付かないと何かすっきりしない部分もある。勝ちが付けば気分的に違うし、次の試合へのアジャストも変わってくる」と振り返った。

 試合前にはド軍時代に親しかった先発左腕カーショーと顔を合わせ「ちょっと違う感じはしました」と苦笑いを浮かべた。古巣からの白星でナ・リーグ全球団からの勝利を記録。ツインズとタイガースに勝てば、日本人投手としては初めてメジャー全30球団から勝利する快挙を達成する。黒田は「プレッシャーですね」と笑いながらも「野茂さんがずばぬけた記録をすべて持ってるんで、それが日本人で初めてなら」と新たな目標に向け、気を引き締めていた。

 ジラルディ監督は黒田の1カ月ぶり白星に「相手が特別の思いがあったはず。いくつかミスがあったが素晴らしい投球だった」と話した。チームの勝利のために投げ続ける右腕が、野茂氏の記録を塗り替える日は遠くない。【水次祥子】

 ▼黒田がドジャースから初勝利を挙げ、大リーグ計28球団から勝利。日本人投手最多となる野茂の29球団勝利(ドジャース戦だけ未勝利)まであと1。未勝利のツインズ、タイガースとは今季対戦が残っており、登板日が合えば今季中に30球団勝利を達成する可能性もある。