<ヤンキース2-1エンゼルス>◇12日(日本時間13日)◇ヤンキースタジアム

 ヤンキース黒田博樹投手(38)が、圧倒的な投球で今季11勝目(7敗)を挙げた。強打のエンゼルス戦に先発して8回を投げ、3安打無失点、1四球7奪三振。防御率2・33の安定感に「自分の仕事ができた」と納得の表情だった。

 試合前は、この日のデーゲームで登板していたダルビッシュの試合をテレビで見ていた。それが刺激になったのか、序盤から攻めた。切れのあるツーシームで内角を突き「あれが自分の中では今日のゲームのポイントだったんじゃないかと思います」と振り返った。中盤は右打者にスライダー、左打者にスプリッターを使い分け、軽快にアウトを重ねた。「データ通り投げていればやられてしまう。その日の調子の中でデータにはまらないピッチングを」と、同じ打者に徹底して同じ球種で攻める大胆な配球も駆使した。

 2回、先頭のハミルトンに初安打を打たれてから無安打を続けていたが、球数が80球を超えた7回先頭のトラウトに内野安打を許した。だが、次打者をスプリッターでゲッツーに打ち取り、珍しく派手なガッツポーズを見せた。無失点登板は今季9度目で両リーグ最多。51イニング連続で本塁打を許しておらず、これは自身最長となった。

 8回の最後の1球は、この日最速の94マイル(約151キロ)をマークする気合の入った投球だった。「最後の1球、それで肩が飛んでいってもいいかなと思ってますし。それができるのが僕の強み」と胸を張った。ジラルディ監督も「ヒロキがこの年齢で、こんな圧倒的な投球をすると誰が思っていただろう」と舌を巻いていた。(ニューヨーク=水次祥子)