<カブス6-1ヤンキース>◇20日(日本時間21日)◇リグリーフィールド

 マー君の「不敗神話」がついに崩れた-。開幕から無傷の6連勝中だったヤンキース田中将大投手(25)がカブス戦に先発。6回8安打、今季ワースト4失点(自責3)で初黒星を喫した。メジャー初の「再戦」は雷雨などの条件も重なり、3点のリードを許して交代した。日米合わせての公式戦連勝は34でストップ。12年8月19日の西武戦で敗れて以来、43試合、640日ぶりの黒星となった。

 負けた事実と淡々と向き合う田中が、一瞬だけ、口調を強めた。記録はいつか途切れるものとはいえ、力を出し切れなかった88球は反省点ばかりが残った。「悔しいです。次の登板が本当に大事だと思います。自分にとって。この負けた次です」。今季ワーストの4失点。自責点3と9戦連続でクオリティースタート(QS=6回以上自責3以内)をクリアしても「自分が悪すぎた。そのあたりは厳しいです」と、納得するわけにはいかなかった。

 悪条件も重なった。無失点で迎えた3回裏。雷雨警報が的中し、突如として、稲光と雷鳴が上空を駆け巡り始めた。マウンドに向かうと、雨脚は激しさを増した。稲光のたびに観衆がどよめく異様な雰囲気。その間、先制点を許し、4回には追加点を献上した。途中、ぬかるんだマウンドを整備してもらうなど、冷静に対応しても、ボール自体はイメージ通りにいかなかった。スプリットが落ちず、速球も高めに浮いた。

 それでも、天候を理由にすることはなかった。「思うような投球が出来なかったのは自分の未熟なところ。投げるボールのレベルが低すぎました」と言い訳は一切しなかった。5回には、ヤ軍ジラルディ監督の「チャレンジ」で試合が中断した。だが、集中力を切らさず、3者連続空振り三振。立ち直りかけた直後の6回、連打に失策が絡んだ2失点で、メジャー9戦目は終わった。

 初黒星を喫し、ついに連勝記録は止まった。悔しさは消えない。ただ、負けなかった過去42試合の重みにも、目を向けた。「ここまでこられたのもチームメートみんなの力のおかげ。投手1人で勝ち負けを決められるわけじゃない。本当にみんなに感謝したいです」。勝ち続けたことを周囲に感謝する一方で、負けた責任は自らが背負う。常にエースのメンタリティーを持ち続ける田中が、1つの黒星でうつむくはずもなかった。【四竈衛】

 ▼日米通算34連勝中、43戦連続負けなしだった田中が、12年8月19日西武戦(西武ドーム)以来の黒星を喫した。日本人投手のデビューからの連勝は、02年石井に並ぶ最長タイの6でストップ。失点4以上は同じ西武戦(失点、自責点ともに6)以来になる。自責点は3で、クオリティースタート(QS=先発6回以上、自責点3以下)は日米通算43試合連続。大リーグでのQS率100%はキープした。