DeNAが巨人をねじ伏せ、首位固めに入った。序盤に最大4点リードを許したが、自慢の強力打線で逆転に成功。最後は「小さな大魔神」ことルーキー山崎康晃投手(22)が締めた。山崎康はプロ野球新人記録を更新する9試合連続セーブを達成。チームも中畑体制初となる8年ぶりの6連勝で、16年ぶりに貯金を「7」まで積み上げた。今日9日からの第2ラウンドは決戦の場所を南場オーナーの故郷・新潟に移す。

 小さな大魔神が王者巨人の前で仁王立ちした。1点リードの9回。山崎康のコールにスタンドが沸いた。勝利を確信したファンの大歓声の中、マウンドに向かう。「最後を投げるピッチャーなので、気持ちを強く持ってチームの勝利を締めることだけを考えています」。りりしい表情のまま打者と対峙(たいじ)。先頭の高橋由から宝刀ツーシームで空振り三振を奪うと、橋本、金城もツーシームで圧巻の3者連続の空振り三振に斬り捨てた。

 9試合連続セーブでプロ野球新人記録を更新。90年に与田(中日)が打ち立てた記録を25年ぶりに塗り替えた。この記念すべき1日は大先輩との“ドライブ”でスタートした。5日に23年連続勝利を挙げた三浦の愛車の助手席に乗せてもらって球場入り。同乗した理由の詳細はけむに巻いたが「車の中で長く野球を続けるためのコツを教えてもらった。息抜きも大事で、1つ工夫をすれば長くプレーが出来るとアドバイスをもらった」と、車内ミーティングの一端を明かした。

 三浦だけではない。ルーキーの新記録樹立は、頼もしい先輩たちのアシスト抜きには実現できなかった。最大4点差の劣勢を強力打線が、はね返し、1点リードで最終回という絶好の舞台をもらった。快投で大役を全うすると、お立ち台では「必ず逆転すると信じていました」と誇らしげに胸を張った。快挙達成の要因を問われると、戦闘モードを解除し「(いいところは)顔です」とにっこり笑った。

 快投を続ける守護神が象徴するようにチームも「連勝街道」を突き進む。8年ぶりの6連勝で貯金も「7」にまで膨らんだ。何より2位巨人に2・5ゲーム差の首位を守った。中畑監督は「選手たちが諦めない気持ちを見せてくれた。連勝よりもその気持ちがうれしい。(山崎康は)まだまだ続く。彼にはその舞台を作ってあげたい」と最上級の賛辞を並べた。そして、最後は「うちはシンプルに目先の試合で全力を尽くすだけ。弱いチームはそれしかない」と手綱をギュッと締めた。【為田聡史】

 ▼DeNAが6連勝、横浜スタジアムでは4月22日阪神戦から8連勝となり、貯金を7に増やした。DeNAの6連勝は07年6月19~26日以来で、横浜スタジアムの8連勝も同じ07年の4月21日~5月12日に9連勝して以来、8年ぶり。貯金7は99年終了時(71勝64敗)以来で、2位に2・5ゲーム差以上つけた首位は優勝した98年以来だ。

 ◆山崎康晃(やまさき・やすあき)1992年(平4)10月2日、東京・荒川区生まれ。小1で野球を始め、尾久八幡中では西日暮里グライティーズ。帝京2年夏、3年春に甲子園出場。亜大3年の日米大学野球で抑えとして優勝に貢献し最優秀投手に選ばれる。4年春リーグ戦では最優秀選手、最優秀投手を獲得。14年ドラフト1位でDeNA入団。177センチ、83キロ。右投げ右打ち。契約金1億円、年俸1500万円(金額は推定)。