キヨシの大作戦が見事に的中した。DeNA中畑清監督(61)が「未体験打線」の大胆策で首位巨人との3連戦初戦を先勝した。ともに今季初の打順に抜てきした1番梶谷隆幸外野手(26)と2番松本啓二朗外野手(29)が1回に2者連続弾で主導権を奪った。3番バルディリス、6番倉本も初の打順に配置し、打線を活性化させた。「野球は点取りゲーム」の持論通りの戦いぶりを本拠地で展開。首位とのゲーム差を1・5に詰め、借金2。勝率5割、首位ターンも視界に捉えた。

 わずか4球で勝負手が決まった。1回、巨人先発高木勇から1番梶谷と2番松本の2者連続アーチで先手を取った。大胆な打順入れ替えを“一発回答”で示した。試合開始直後。まだまだ明るさが残る本拠地を大歓声に導いた中畑監督は「いきなりの2連発が勢いをつけた。我々の期待に応えてくれた。1、2番でホームラン。こんなスタートはめったにない」と目を丸くした。

 攻めまくる積極性が真骨頂だ。「野球は点取りゲームだから」をモットーに攻撃的な采配を続ける。4番が1試合、5番が1試合。スタメンの2試合以外は不動の3番に置いてきた梶谷を初めて1番に抜てきした。梶谷本人には前夜12日のヤクルト戦後に通達。「カジは3番を外したときに生かせる場所は1番。打席の空気が重かったから、その空気を変えたかった」と迷いなく勝負に出た。

 試合前は打順の大幅変更を予告し「蒙古斑(もうこはん)をいじるよ。ぐちゃぐちゃにいじってやる」と若さを隠せない梶谷を蒙古斑に例えて打順変更を公言。1番梶谷のほかにも、2番松本、3番バルディリス、6番倉本、いずれも今季初打順となる大胆策が巨人攻略への勝負手だった。

 12球団最年長指揮官の意図がナインにもすんなりと通じていた。15打席ぶりの安打となる自身4度目の先頭打者弾で不振を脱した梶谷は「監督から『今日は何も考えずに振ってこい』と言ってもらって、その言葉に救われた。全打席ホームランを狙うつもりでいった」。松本も「僕も思いっ切りいこうと意識して打席に入った」と自身初の4安打猛打賞の活躍で応えた。

 エキサイティングな戦いを展開し、またしても大混セを演出した。首位巨人との3連戦で先勝を決め、ゲーム差1・5の単独3位。今日14日はドラフト2位石田を先発させ、明日15日は前回登板でプロ初勝利を挙げた育成出身の砂田で王者に立ち向かう。前半戦首位ターンに望みをつなぎ「また、また、また! 明日が一番の山になる。ノビノビ、思い切ってやってほしい」と指揮官。どこまでも攻めの姿勢を貫きDeNAが突き進む。【為田聡史】

 ▼DeNAは初回、1番梶谷と2番松本が連続本塁打。初回先頭打者から2者以上の連続本塁打は、4月5日西武の秋山、栗山が記録して以来プロ野球38度目だ。DeNAでは05年6月1日楽天戦の石井と小池に次いで5度目。梶谷は初球、松本は3球目を本塁打。DeNAで4球以下は82年山下(初球)と屋鋪(3球目)以来で、65年近藤和(2球目)と桑田(初球)に次ぐ速攻だった。