ソフトバンクのドラフト5位ルーキー島袋洋奨投手(22)がプロデビューを飾った。3点ビハインドの8回、最速144キロの直球を中心に1イニングを無失点。チームは4月以来、今季2度目の3連敗で球団通算5000勝はまたもお預けとなったが、甲子園で春夏連覇を果たしたトルネード左腕のデビューは明るい話題だ。

 12球団随一の豪華投手陣の中で、ルーキー島袋が産声をあげた。3点ビハインドの8回。先頭の福浦に四球を与えたが、デスパイネから高め直球で空振り三振を奪うと、捕逸で走者を二塁に進めた後、今江を中飛、鈴木も左飛。好守をみせた内川に拍手を送り、ホッとした表情でベンチに引き揚げた。

 「やばかった。テレビで見ていたロッテの応援の中でマウンドに立っているんだと思うと、めちゃめちゃ緊張した。でも、ようやく1歩を踏み出せた。今持っている力を出せたと思う。甲子園(の春夏連覇)とは比べものにならないくらいうれしいです」

 マウンドでの投球練習初球は暴投。緊張を振り払い、強気に攻めた。24球中21球が直球。工藤監督は「逃げないで向かってくれたのはよかった」と評価し「彼には機会を与えていきたい。ブルペンとマウンドの球が違ったので、同じように投げられるように」と成長を願った。

 高校時代には直球とスライダーが武器だったが、あのスライダーはもう投げられない。「大学でケガをしているうちに投げ方が分からなくなってしまって…。だから、もうあの時とは違うんです」。甲子園を沸かせた投球スタイルからの脱却。納得のフォームを取り戻したのはプロ入り後、3軍にいた5月30日のオリックス2軍戦だった。

 中大で不調に陥り、プロから声が掛かるかも半信半疑だった。憧れ続けたプロの舞台は格別だった。【福岡吉央】

 ◆島袋洋奨(しまぶくろ・ようすけ)1992年(平4)10月24日、沖縄・宜野湾市生まれ。興南で2年春からエースとして4季連続で甲子園出場。3年時には沖縄勢で初めて夏の甲子園を制し、史上6校目の春夏連覇。甲子園通算11勝2敗。中大では11勝19敗。172センチ、74キロ。左投げ左打ち。