阪神が今日30日に行う定例報告で坂井信也オーナー(67)と南信男球団社長(60)がツートップ会談に臨み、和田豊監督(53)の今季限りでの退任が正式に決定する見通しであることが29日、分かった。和田監督に関しては、中村勝広GMの急逝に伴い不在となっているGMの将来的な候補に挙がっていることも判明した。

 阪神は数年先に思いをはせていた。今日30日に電鉄本社で定例報告が行われ、坂井オーナーと南球団社長が今後のかじ取りについて方針を決める。来季の新監督候補としてOBの金本知憲氏に要請する最終調整の詰めを行うとともに、今季まで4年間チームを率いた和田監督の退任を正式に決定する見通しだ。

 今季、優勝を逃したチームは主力が高齢化し、相変わらず若手が伸び悩む苦しい事情を抱えている。編成部門の責任者である中村GMが23日に脳出血のため、都内で急逝した。6月には契約を更新しており、本来なら来季も中村GMを中心に戦力編成を進めていくはずだった。想定外の事態に陥り、10月22日のドラフト会議は高野栄一球団本部長が陣頭指揮を執る形で乗り切るが、外国人補強など課題は山積みだ。将来のチームを、どう強くしていくべきか。そのアウトラインを描くGMの後任者を模索しているが、適任がいなければ、一時的にGM職を凍結する方向だという。

 そんな状況下で、新たに浮上したのは「和田GM」プランだ。あくまで将来的な候補として位置づけているが、電鉄、球団ともに阪神一筋31年でグラウンドに立ち続けてきた和田監督の経験を高評価している。またチームの内情を的確に把握している「情報力」は、阪神にとっての財産だ。今季を最後にタテジマのユニホームを脱いだとしても、今後、フロントとして“入閣”する「ウルトラC」の腹案を温めている。電鉄本社、球団や現場と橋渡しできる、パイプラインとしての役割も期待されているという。

 これまで、和田監督の分析眼は打撃コーチ時代から高く評価されてきた。選手の適性を見抜く眼力は、スカウト活動でも生かされるだろう。中村GMは米国や韓国、アマ野球の現場を奔走して逸材発掘を目指してきた。野球に対する情熱的な姿勢は和田監督も負けていない。タイガースの未来を築く上で「和田GM」も秘策の1つになる。