広島が最終戦に敗れ、3年連続のクライマックスシリーズ(CS)進出を逃した。勝てばCSを決められた中日戦。中4日で先発した前田健太投手(27)が7回無失点と力投したが、8回に勝ち越しを許した2番手大瀬良はベンチで号泣。打線は1安打で完封された。後に誤審と認められた田中の幻アーチで引き分けに終わった9月12日阪神戦の結果が悔やまれる0・5ゲーム差敗退だ。

 大瀬良はぼうぜんとグラウンドを見つめた。大粒の涙が頬をたれ、目を真っ赤にした。若武者はすべてを背負い込んだ。8回に痛恨の3失点。投手交代のアナウンスは勝負が決まった瞬間だった。打線は誰1人快音を響かすことは出来ず、今季を象徴する拙攻の連続。前田、黒田、ジョンソンと先発陣をそろえながら、広島は勝てなかった。

 緒方監督 大きな期待を受けて始まったシーズン。優勝を逃しても最後の最後まで3位の可能性もあったなかで、こういう結果に終わった。本当に申し訳なく思っています。

 中4日で先発させた前田は走者を出しながらも粘った。気迫を前面に出し最後の一打を許さなかった。エースの意地が出ていただけに、指揮官も「マエケンは調子が悪い、しんどい中4日でも抑えてくれた。先制して逃げ切る勝ちパターンに持っていきたかった」と悔やんだ。3年連続でCSに出場するには、打線の迫力が足りなかった。

 今季最終戦でワーストの1安打に終わり、17度目の完封負け。四球で走者を出しても、得点の雰囲気はなかった。唯一の好機だった6回1死二塁では、頼みの1番丸、2番菊池が連続三振。指揮官が「チームの中心」と期待し、打率が2割5分を切っても心中覚悟で使い続けた2人が倒れた。「中心となってやってくれた選手も最後の最後で力を出し切れなかった悔しさもあるだろう」。悔しさを共有し、唇をかんだ。

 野球に「もし」はない。球団関係者も「絶対に言ってはいけない」と口をそろえる。だが仮に…。9月12日の阪神戦(甲子園)で延長12回に田中が放った幻の本塁打。3位と4位だけに、引き分けと勝利で雲泥の差があった。「チームが後退したとは思っていない。もう1回この悔しさを胸に、立ち向かっていくだけです」と緒方監督。神様が振り向かなかった理由を、また探すことになる。【池本泰尚】