未来の矢野へ、虎のドラフト2位が名乗りをあげた。阪神の2位指名を受けた明大・坂本誠志郎捕手(4年=履正社)が「矢野さんのようにチームになくてはならない捕手になりたい」と、1軍バッテリー兼作戦コーチに就任予定の矢野燿大氏(46)を追う目標を掲げた。履正社(大阪)3年春に4強入りした懐かしい甲子園で、大学NO・1捕手から虎の正捕手に飛躍する。

 大学日本代表の司令塔に成長して、坂本が甲子園に帰って来る。同期生の高山、上原(日本ハム1位)らと待ちわびたドラフト指名は、阪神の2位。1位の高山に次ぐ高評価に笑みがはじけた。

 「自分の思っている以上に高い評価をしていただいて、うれしく思っています。地元が兵庫県で、ゆかりのあるタイガースに評価をしていただいて、ほっとしているのと同時に大変光栄に思っています」

 履正社で1年上のヤクルト山田らと2年夏に甲子園に出場し、3年春はセンバツ4強。明大では1年春からマスクをかぶり、同秋から正捕手に。集大成のこの秋も、今週末の法大戦で勝ち点を取れば優勝が決まる。大学日本代表には2年でデビューを果たし、3年から大学JAPANの司令塔になった。実績が高評価の対象になったが、実は阪神とは運命の糸で結ばれていた。祖父母が大の阪神ファンで、幼いころから阪神戦の中継を見るのが一家の日常だった。

 「最近の野球は捕手が代わることが多いが、ぼくが小さいころ、テレビで阪神の試合をつけたら必ず捕手が矢野さんだった。いつ、どの試合でもタイガースの捕手は矢野さんだった。矢野さんのように、チームになくてはならない存在の捕手になりたい」

 夜に対面した金本監督にも思い出があった。中学時代にツアーで広島市民球場に広島-阪神戦を見に行き、試合前にサインをもらった。その相手が阪神の主砲金本だった。この日は監督と期待の正捕手候補として再会し、さっそく必要なものを伝えられた。

 「プロで試合に出る捕手とは、まず打てること、さらに盗塁を刺せること。それが大事だと言われました。自分に足りないところなので、克服していきたい。(監督は)すごい威圧感、大きい方だと感じました」

 藤浪も待っている。履正社の正捕手、大阪桐蔭のエースとしてしのぎを削った1歳下の右腕とプロではバッテリーを組む。

 「2年秋、3年夏に対戦して1安打ずつしていると思うけれど夏は特に手がつけられない投手になっていた。プロに入ってさらにすごい投手になっている。同じチームの仲間として、阪神のためにやっていければいい」

 エース藤浪を支えて、悲願の日本一奪回へ。坂本の新しい野球人生が始まる。

 ◆坂本誠志郎(さかもと・せいしろう)1993年(平5)11月10日、兵庫県生まれ。養父小1年から「養父カープ」で野球を始め、同3年から捕手。養父中で3年夏に兵庫3位。履正社では1年夏からベンチ入り。明大では主将も経験した。投手の長所を引き出す能力と正確な送球が武器。176センチ、78キロ。右投げ右打ち。

 ▼阪神は2位で、明大の坂本誠志郎捕手を指名。同じ球団から同じチームへの1、2位指名は、14年阪神が新日鉄住金鹿島から1位横山雄哉、2位石崎剛の両投手を指名して以来、6組目。同一球団の1、2位指名選手が、2年連続でそれぞれ同一チームだったのは史上初。

 ▼阪神の1、2位指名がともに野手は、66年2次<1>西村公一<2>大倉英貴、91年<1>萩原誠<2>久慈照嘉、96年<1>今岡誠<2>関本健太郎に続き、19年ぶり4組目(高校生ドラフト除く)。過去6人はいずれも内野手で、外野手と捕手の組み合わせは球団初。