みそかつのような名古屋名物になるぞ~。中日は8日、育成ドラフト4位指名の星城大・西浜幹紘投手(22)と仮契約を結んだ。支度金200万円、年俸300万円。背番号は未定。

 若い買い物客でにぎわう日曜の矢場町(やばちょう)。常連や観光客が引きも切らない店内に、スーツ姿の屈強な男性たちが入っていく。契約交渉の舞台は、名古屋が誇るみそかつの名店「矢場とん」本店だ。上階の静かな個室で、中日ドラフト指名選手のトップを切って西浜が仮契約の判を押した。

 「こういうところでするんだ、と。球団事務所とかだと思っていたんですけど…」と148キロ右腕はびっくり。場所を選定した中田スカウト部長は「そのまま一緒に夕飯も食べられるし、いい個室もあるからね」。中日関係者も御用達の地元の名店だが「とんかつ交渉」はもちろん初めて。1時間でスムーズに終了し、そのまま残ってコース料理に舌鼓を打った。

 愛知大学リーグ2部。育成4位。中央球界では無名だが中田部長は「とにかく馬力がある」と大化けを期待する。焼き肉40~50人前は食べられるというスケールも面白い。「支配下に上がって、ナゴヤドームに両親やお世話になった人を招待したい」(西浜)。みそかつ店から夢への第1歩を踏み出した。【柏原誠】

 ◆矢場とん 1947年創業。テークアウト専門店を含め愛知、東京、三重、福岡、富山に計19店。通常のみそかつよりソースが甘さ控えめでサラッとし、女性でも量を食べられる。一品ものやアルコール類も豊富。今年、硬式野球クラブ「矢場とんブースターズ」を結成。19人全員が矢場とんの正社員で中日OB藤王康晴氏が監督。来年は都市対抗予選、全日本クラブ選手権予選に出場予定。