巨人ドラフト5位の山本泰寛内野手(22=慶大)が12日、都内で仮契約を行った。契約金4000万円、年俸800万円(金額は推定)。背番号は「56」に決まった。走攻守そろった即戦力は「早く1軍でプレーできるように。あこがれはジーター。夢や感動を与えられる選手になりたい」と抱負を語った。

 …、ここまでは、ごく普通の光景だった。緊張して会見とフォトセッションを終えた初々しい山本に、息つく間もなくさらなる関門が待っていた。控室に戻ってドアを開けると、その先に待っていたのは高橋監督だった。球団行事の都合で秋季キャンプを離れ、一時帰京している。大学の後輩が仮契約を行っている話を聞き、仕事の合間を縫って足を運んだのだった。

 ドアの向こうは最初は静寂だったが、徐々に笑い声も漏れてきた。先に出てきた新監督は「井端も引退したし、競争に加わってほしい。『先輩、後輩はあるけど、逆に厳しくなるかも。覚悟しておいてね』と伝えました」と語った。遅れて出てきた山本は「びっくりしました…」。大先輩の心憎いサプライズで、一生忘れない晴れの日になった。【宮下敬至】