天国の父に誓う二塁打だ。ロッテ香月一也内野手(19)が11日、2軍のシート打撃で二塁打を2本、放った。ともに藤岡のスライダーを左翼線、左越えと流し打った。両打席とも追い込まれていたが、外に逃げる球に逆らわなかった。逆方向への打撃は今キャンプのテーマだ。「それまでの直球を捉えないと」と反省しつつ、「練習の成果が出ました」と手応えが残った。

 今月5日に父昌美さんを病気で亡くした。52歳だった。数日前に電話で「頑張れよ」と言われたのが最後の言葉になった。「頭に残っています」。葬儀を終えチームに戻った8日、周囲の心配をよそに、笑顔で練習に励む姿があった。「落ち込んだけど、お父さんは、それを求めていない。『早く1軍に行って欲しい』と、ずっと言われてて。約束は果たせなくて悔しさは忘れないけど、落ち込んでる暇は、ありません。元気にプレーすれば、お父さんも喜ぶと思うので」。

 新人だった昨年はかなわなかった1軍デビューだが、山下2軍監督は「(二塁打は)うまく打った。良さが出た。1年やってスイングスピードが上がった」と目を細めた。良い報告をするために、香月一はバットを振る。【古川真弥】