ロッテにドラフト3位で入団した成田翔投手(18=秋田商)が3日、秋田市内で行われた卒業式に出席した。昨夏の甲子園では県勢20年ぶり、同校80年ぶりの8強進出に導いたエース左腕は現在、2軍で調整中だ。自身が大きく成長した母校から旅立つ日、早期の1軍昇格を誓った。

 3年D組のホームルーム。担任の先生から卒業証書を授与された成田は、笑顔を見せながら熱く語った。「甲子園に出て、自分の幼い頃からの夢をかなえられた。まずしっかり活躍して、全員を(試合に)招待できるように頑張ります」。41人のクラスメートに対して高らかに宣言した。成田の両脇に立った父努さん(44)、母久美子さん(44)には「小4から野球を始めて、親には支えてもらった。自立して恩返ししたい」と感謝を口にした。

 ロッテの2軍キャンプでは実力差を痛感した。「打者の対応力がある。振らせる球を振ってくれない。一回りも二回りも体を大きくしないと、1軍のマウンドには立てない」。1日に浦和から秋田に帰省するまで2軍で肉体改造に取り組み、70キロから2キロ増量に成功した。「充実したキャンプを送れた。ケガをしないで終われたのが一番。ケガしない分、体をつくれた」と話した。

 先輩から金言を授かった。2月の2軍キャンプ中に投手だけの食事会が行われ、隣の席に座った唐川から、プロとしての考え方を学んだ。「自分にとっていいと思ったものだけを身につけろ、と言われた。何でも取り入れたらダメになる。しっかり判断して成長につなげていきたい」。すべての方法が、万人に有用とは限らない。見極める力の大切さを教えられた。

 自分を成長させてくれた高校生活の3年間を振り返った。「つらい練習ばっかりでレギュラーになれるのかなと思ったけど、走り込んできた結果、プロ野球選手になれた。これからの人生の支えになる」。汗と涙が染み込んだ秋田の地から羽ばたく。「1日も早く1軍で投げている姿を、秋田の人に見せたい」。170センチの小さな巨人が、大きな1歩を踏み出した。【高橋洋平】