起死回生弾だ!! 広島下水流昂外野手(27)が、西武とのオープン戦(マツダスタジアム)の9回、代打で左翼席へ豪快な2ランを放った。幸運にも巡ってきたラストチャンスで結果を残し、2軍降格の危機から1軍に踏みとどまった。4年目のシーズンを前に結婚。一家の大黒柱となった男は、一気に開幕1軍をつかみ取るつもりだ。

 西武小石の高めの真っすぐに、下水流は迷わずにバットを振り抜いた。「カウントが有利(3-1)だったので、思い切っていこうと思った」。高々と舞い上がった打球は左翼2階席に着弾。自身を2軍降格の危機から救う2ランだった。

 9回。4人目の打者、天谷の代打で準備していた。1死から新井が左前打で出塁したことで、チャンスを得た。「瀬戸際だったので、ずっと集中していた。新井さんに感謝です」。右の長距離砲と期待されながら昨秋キャンプで結果を残せず、今春キャンプは2軍スタート。前日5日に1軍に呼ばれたばかり。同日の西武戦は「3番中堅」で先発フル出場しながら3打数無安打。「ミスショットが多かった。ライナーを打つ意識で行こうと思った。それだけ考えて打席に入った」。回ってこないかもしれない打席で最高の結果を出した。

 緒方監督は「運がいいと言うか、ラストチャンスをつかんでくれた。(西武戦)2試合で1軍から外そうかと思っていた」と明かした。まさに起死回生の1発。土俵際で生き残った。

 進退をかけた4年目を前に、守るべきものができた。社会人時代から交際を続けた中学の同級生と今年1月21日にゴールイン。支えとなる伴侶を得た。新婚パワーもあり、崖っぷちからはい上がった下水流が初の開幕1軍に望みをつなげた。【前原淳】