美酒は関東へ持ち越しだ。広島が中日に打ち勝って、25年ぶり7度目のリーグ優勝へ「マジック1」とした。2位巨人が勝ったため、本拠地での最速タイでの優勝決定はならなかったが、マツダスタジアム最多となる3万2546人のファンに本拠10連勝をプレゼントした。歴史的快進撃で貯金は球団新の34まで積み上がった。今日9日、巨人がヤクルトに敗れれば、試合がない広島の優勝が決まる。

 マツダスタジアム最多となる3万2546人が球場を真っ赤に揺らした。すでに甲子園の結果を知るはずのファンは試合終了まで席を立たなかった。今季の強い広島をグラウンドで表現するナインに、鯉党は最後まで大歓声を送り続けた。

 緒方監督 今日はしっかり自分たちの野球をして、勝利という結果をたくさん入ってくれたファンに届けられて喜んでくれていると思う。優勝は決まらなかったけどね。

 指揮官は胸を張った。まずは丸の2試合連続弾で試合の主導権を握った。2ボールからの3球目に体を残してバットを振り抜くと、打球は左翼席最前列に飛び込んだ。3年連続19号は自己最多タイ。「打ったのはストレート。コースに逆らわず素直に打つことができました」と振り返った。

 2回に追い付かれるも、直後に反撃した。鈴木の一打から打ち出の小づちのようにつながった。石原の適時二塁打で勝ち越すと、2球バントを失敗した野村が中堅前に落とした。さらに田中、菊池が続き、最後は4番新井が三遊間を破った。

 胴上げを期待して、試合前から熱気に包まれていた。地元テレビ局は試合前の様子を生中継。徹夜組が長蛇の列をつくり、開門は15分早められた。開場後もコンコースには人があふれた。球場だけでなく、上空には報道ヘリコプターが旋回。球場周辺のショッピングセンター駐車場にも、赤いユニホームを着たファンが多数現れた。新井も「(野村)祐輔がストライクを取ったときの盛り上がりはすごかった」と感じていた。

 地元ファンに胴上げを見せることはできなかった。だが、本拠10連勝でマジックは1。試合のない今日9日は関東への移動日で、巨人が敗れれば優勝が決まる。待つしかない、という質問に緒方監督は「それしかない」とうなずいた。25年ぶりの歓喜は、もう目の前だ。【前原淳】

 ▼広島の貯金は34に増え、80年の33を抜いて球団史上最多貯金。マツダスタジアムでは8月11日阪神戦から10連勝となり、同球場では今年の6月に11連勝して以来2度目の2桁連勝。広島が本拠地球場でシーズン2度の2桁連勝は初めて。

 ▼広島○、巨人○の結果、広島はM1止まり。優勝は9日以降に持ち越しとなり、90年巨人に並ぶ2リーグ制後最速のV決定は逃した。今日は広島の試合がなく、2位巨人がヤクルト戦に敗れると広島の優勝が決まる。2リーグ制後、試合のない日にリーグ優勝決定は12年日本ハムまで12度。巨人が敗れて試合のなかった首位チームが優勝ならば54年中日以来だが、今日の結果は?