ヤクルトに隠し玉がいた。早起き軟式野球のMVPエースを6位で指名した。

 軟式野球の相双リテック(福島県)菊沢竜佑投手(28歳=立大出身、183センチ、85キロ、右投げ右打ち)だ。最速148キロの直球とスライダー、カーブ、シュート、フォークを操る。

 マー君や斎藤佑樹らと同世代。秋田高時代から注目されていた右腕は立大に入学。1年春からリーグ戦登板を果たした。2年時に初勝利を挙げるなど期待されたが故障などもあり通算14試合登板で1勝1敗に終わった。卒業後は横浜金港クラブでプレー。都市対抗出場まであと1歩という健闘を見せた。その後は米独立リーグでもプレーした。

 相双リテックは東日本大震災で被災したいわき市にあり、地域の復旧・復興を目指すための「設計・施工・管理」を統合した地域密着型の会社として設立された。

 菊沢は8月に行われた福島県早起き野球大会で優勝しMVPを獲得。9月の全日本軟式野球大会では準決勝で無安打無得点を達成し準優勝を果たした。

 指名を受けた菊沢は「華々しい実績がなくて、レールを踏み外した野球人生。でも夢の途中でくすぶっているような、そういう人に夢を与えるピッチングをしていきたい」とあきらめずつかんだプロへの扉を喜んだ。