阪神が国内FA権を保有するDeNA山口俊投手(29)の獲得調査に本腰を入れることが10月31日、分かった。先発も補強ポイントで今季11勝をマークした右腕に「安定感がある」と白羽の矢。巨人や中日も調査を進める中、在阪志向の有無などを調べる。FA補強の大本命は糸井嘉男外野手(35)で揺るぎなく、近日中に宣言することが判明。獲得態勢を一層強化させるが、ダブル取りに発展の可能性も0ではない。なお、FA有資格者の手続き期間が、この日スタートした。

 FA補強の候補は糸井だけではない。阪神がDeNA山口に強い関心を持っていることが分かった。球団首脳は「宣言すれば興味があります。先発として安定した成績が期待できますから」とコメント。可能性が高まっている近日中のFA宣言に備え、獲得調査に本腰を入れることになった。

 阪神はドラフト1位で投手指名の方針を大転換し、白鴎大・大山悠輔内野手(21=つくば秀英)を指名。そのため先発が補強ポイントの1つになった。白羽の矢を立てたのは今季先発で11勝5敗、防御率2・86の成績を残し、DeNA初のCS進出に貢献した29歳右腕。3完封を含む5完投とスタミナも申し分なく、チーム全体で8完投だった阪神には、頼もしい存在に映る。

 山口には、すでに巨人や中日が獲得調査を本格化させている。阪神も在阪志向の有無なども含め、交渉のテーブルにつく用意があるのかなど、周辺から調べる。その結果次第では宣言しても手を引く可能性があるが、現状は糸井とのダブル取りが視野に入っている。

 大本命の糸井はこの日、近日中にFA宣言することが判明した。阪神には、待ちに待った朗報だ。今後は本格的に獲得準備を整える段階に入るが、まずは交渉解禁となる11日に即日アタックを予定。オリックスが提示済みの4年契約と同等の好条件を準備し、金本監督の交渉出馬や背番号3の提示も検討している。誠意を尽くしたVIP待遇でハートを揺さぶる作戦が、いよいよ実行に移される。虎の山口&虎の糸井の誕生なるか。来季浮沈のカギを握るFAウイークが、がぜん熱くなる気配が漂ってきた。

 ◆山口俊(やまぐち・しゅん)1987年(昭62)7月11日、大分県出身。柳ケ浦から05年高校生ドラフト1巡目で横浜(現DeNA)に入団。父久さんは大相撲元前頭4枚目の谷嵐。高校時代に最速151キロをマークした本格派。1年目に巨人戦で初登板初先発初勝利。今季から選手会長に就任し、チームのまとめ役としても一役買った。187センチ、97キロ。右投げ右打ち。