日本ハムからのトレードで巨人に入団する吉川光夫投手(28)が左腕王国を形成する。4日、都内の球団事務所で石川慎吾外野手(23)とともに入団会見に臨んだ。名門球団は左腕が活躍すれば優勝する定理がある。12年のパ・リーグMVP左腕は実績抜群の内海、杉内、今季10勝と気鋭の田口らレフティーズに加わることに共闘と生存競争からの勝利を誓った。また吉川光は年俸9500万円、石川は1000万円(推定)でサインした。

 吉川光が優勝への戦友であり、左腕王国の看板に名を残すためのライバルへ決意表明した。新天地の左腕勝ち頭は10勝の田口で今季9勝の内海、股関節手術からの復活を目指す杉内と実力者が並ぶ。新たに一角に入ることを期待される新戦力は「いい左投手がたくさんいて、勉強するところは見習って競争に勝ち残っていけるように頑張りたい」と切磋琢磨(せっさたくま)する覚悟だ。

 対戦経験もあり、肌で実力を知る高橋監督の期待値も高かった。「MVPを取って力のある選手と分かっている。当然、それぐらいの活躍を期待している」と12年の14勝&最優秀防御率に輝いたレベルの活躍を求めた。吉川光の加入で今季は計25勝止まりだった左腕陣は分厚くなる。「吉川光は環境も変わるし、田口もまだ活躍して1年だから。杉内も今年は投げていない」としながらも「杉内も、もともと力はある。内海も9勝したようにね」と左腕陣筆頭のカルテットを評した。

 左を制すれば球界を制す。データが証明する。07年以降の過去10年は左腕で計30勝以上したシーズンは5度あり、100%の優勝確率を誇る。当時の長嶋茂雄監督(現終身名誉監督)で日本一を遂げた00年は球団史上最高の45勝を稼いだ。入団3年目だった高橋監督の脳裏にも焼きついている。「00年は左腕が強かった。工藤さん、メイ(各12勝)高橋尚(9勝)と3人で勝ったね」。優勝への方程式が歴史には刻まれている。

 吉川は未来を見据えている。12年以降の2ケタ勝利は昨季の11勝にとどまったが「(12年に)近づくというより、その成績を超えるようにとやっている。来年は少しでも超えるように」と打破を誓い「日本一にもといたチームがなったが、今度はジャイアンツでなれるように」と巨人の一員として強調した。【広重竜太郎】

 ◆巨人左腕メモ 07年以降の最近10年で左腕が30勝以上を挙げた5シーズン(07年40勝、08年36勝、09年30勝、12年36勝、13年38勝)はすべて優勝している。また、過去に左腕の10勝コンビが誕生した77、00、07、08、12、13年は6度すべて優勝。左腕の球団最多勝利は00年優勝時の45勝(工藤12、メイ12、高橋尚9、岡島5、平松4、柏田2、野村1)。今季はチーム71勝のうち左腕は25勝だった(田口10、内海9、今村3、ポレダ1、山口1、戸根1)。