九鬼侍になる! ソフトバンクからドラフト3位で指名された秀岳館の九鬼隆平捕手(18)が12日、高校日本代表でバッテリーを組んだ楽天ドラフト1位の横浜・藤平との侍ジャパンでのバッテリー再結成を熱望した。「高校日本代表でプレーして、もう1度あの場所で集まりたいという話をしたんです。藤平とはグラウンド外でも一緒だったし、日本代表でもう1度再会したい」。

 九鬼はこの日、福岡市内のホテルで入団交渉を行い、契約金5000万円、年俸600万円(金額は推定)で契約合意。侍ジャパンの強化試合もテレビでチェックし「後に日本を代表するような選手になっていきたい」と、声を弾ませた。

 九鬼の体内には、侍としての血が流れている。九鬼家の先祖は戦国、安土桃山時代に九鬼水軍を率いた志摩の武将・九鬼嘉隆だという。九鬼はその末裔(まつえい)。「祖父の家の倉庫で家紋を見つけたことがある」と明かし「武将の血を引いていると意識したことはないけど、九鬼水軍のことは調べました。九鬼という名字は自分でも格好いいと思っています」とちょっぴり胸を張る。

 同じ捕手として池田(徳島)でセンバツ優勝を飾り、松下電器(現パナソニック)でも社会人ベストナインに3度選ばれている現パナソニックコーチの父義典さん(47)も「負けず嫌いなところは私と一緒」と、息子の強い闘争心に期待を寄せた。

 先祖代々受け継いできた侍魂を胸に、日本を代表する捕手へ-。九鬼は侍ジャパンのユニホームに袖を通す日を夢見て、ソフトバンクでプロでの第1歩を踏み出す。【福岡吉央】

 ◆九鬼隆平(くき・りゅうへい)1998年(平10)9月5日、大阪府生まれ。中学3年時にオール枚方ボーイズで全国大会5冠。秀岳館では2年秋から正捕手で4番。3年春、夏ともに甲子園で4強。高校日本代表でも4番。高校通算27本塁打。180センチ、82キロ、右投げ右打ち。

 ◆九鬼嘉隆 戦国時代から安土桃山時代にかけて志摩国を支配した武将。織田信長や豊臣秀吉につかえ、率いた水軍は九鬼水軍として恐れられた。毛利水軍との戦いでは、信長から依頼を受けて鉄甲船を建造し、相手を打破。秀吉の朝鮮出兵時には、朝鮮水軍を何度も撃退した。関ケ原の戦いでは西軍につくも、敗れて自害。死後は海賊大名と呼ばれた。