4度の引退を乗り越え、9カ国目の日本にたどり着いた。西武の新外国人3選手が30日、球団事務所で入団会見。アレクシス・キャンデラリオ投手(34)は「いろんな国でプレーしてきたが、チームの勝利が一番大事なのは世界共通。そこに貢献できるよう全力を尽くしたい」と意気込んだ。

 「いろんな国でプレー」は、単なるもののたとえではない。ドミニカン右腕はメキシコの下部リーグを皮切りにベネズエラ、ニカラグア、パナマ、イタリア、オランダ、米国、ドミニカ共和国と渡り歩いてきた。ビザなどの関係で、トップリーグからお呼びがかからず、いったん現役続行を断念することもあった。

 「4回引退しました。家の内装工や、道路工などの仕事にも就きました」。それでも年が明けるたびにオファーが届き、現役に復帰。その繰り返しの中で、徐々に実力を高めてきた。昨季はメキシコ1部リーグとドミニカ共和国のウインターリーグでプレー。140キロ台中盤の直球に、スライダーやカットボールのコンビネーションが、他の選手を視察に来た西武スカウトの目に留まった。

 運命的に加入した渡り鳥右腕について渡辺シニアディレクターは「誰よりも強い意欲を感じる。順応力は高いし、34歳だがここ数年の成績を見ても伸びしろを感じる」と大化けを期待する。趣味はギターやピアノの演奏。メガネ姿からはスマートさ、知性も漂う。しかし、歩んできた野球人生はイバラの道そのもの。誰よりもハングリーに成功を目指す。【塩畑大輔】

 ◆アレクシス・キャンデラリオ 1982年5月28日、ドミニカ共和国生まれ。サンタ・クララ高卒業後、メキシコで選手のキャリアをスタート。15年にイタリアリーグ・リミニで8勝2敗、防御率1・97。16年は米独立リーグサマセットとメキシコリーグ・ベラクルス、イタリアリーグ・リミニを行き来しプレーした。188センチ、91キロ。右投げ右打ち。