今季初の3番弾や。阪神高山俊外野手(23)がソフトバンク戦で3番左翼として先発出場。糸井嘉男外野手(35)を初めて1番打者に組み込むオーダーだったが、3番高山は今オープン戦4号ソロを豪快に放った。「1番糸井、3番高山」の新オーダーも任しといて~!

 沈黙する猛虎打線。静まりかえる左翼スタンド。漂う不穏な空気を、高山が一振りで変えた。0行進が続いていた8回1死。ソフトバンクのセットアッパー、五十嵐の6球目、直球を完璧にとらえた。打球はホームランテラスを軽々飛び越え、右翼スタンドに着弾。虎党のボルテージを一気に最高潮まで持っていった。

 「(内角真っすぐを打って)それは良かったですね」

 今季のオープン戦で2試合目となる3番起用。この日は1番糸井から始まるオーダーが組まれた中で、今季初の3番弾と適性の高さを示した。ルーキーイヤーの昨年は得点圏打率3割7分7厘と、本塁打、打点で2冠王のDeNA筒香に次ぐリーグ2位の数字をマークした。球界でもトップクラスの勝負強さは、この打順でより一層輝きを放つ。

 3番起用に応えた背番号9の活躍に金本監督も目を細める。「2球とんでもない真っすぐを空振りして、3球目に対応できた」と対応力を評価。その上で「でも欲をいえば、ネクストからタイミングを合わせて、準備して初球からね。これはレベルの高いことだけど。1回空振りしたら、これはダメだと。2回目のスイングでバシッといけるように」と、さらに上のレベルを要求した。

 この日放ったオープン戦4本目の本塁打は、日本ハム大谷らと並んでトップタイ。シーズン143試合に換算すると、38本塁打になる計算だ。高山が今季の目標として掲げる「20本塁打」を、はるかに上回るペース。長距離砲としての可能性すらも、自らの力で証明し続けている。

 期待に結果で答え続ける23歳。それでも高山は納得のいっていない表情をみせる。「まだ本調子じゃない? そうですね。練習します」。無限の可能性を秘める若虎が、チームの中心に早くも座っている。【梶本長之】