切ない快記録だ。ソフトバンクが25日広島戦で3投手によるノーヒットノーランを達成した。オープン戦では95年オリックスがダイエー相手に記録して以来、22年ぶり。先陣を切った先発松坂大輔投手(36)は7回を無安打無失点と日本球界復帰後最高の投球内容だったが、この日、首脳陣から開幕ローテーションからの落選を告げられた。ファームで状態を上げながら、1軍昇格を待つ。

 遅すぎた、満点解答だった。松坂は、7回を無安打無失点。4連続を含む6奪三振。文句のつけようのない投球を披露した後、摂津と2人、開幕ローテーションから外れたことを正式に伝えられた。「残念ですけど、オープン戦残り2試合で開幕ローテが決まってないわけがない。それは試合前から分かっていました。先につなげるように投げるだけだったので」と、現実を受け入れ、打ち明けた。

 前回18日西武戦で右足内転筋に張りを訴え、4回途中降板。この時点で事実上、開幕ローテ争いから脱落していた。その翌日から懸命の調整の末にマウンドに立ち、最後のオープン戦で進むべき形が見えた。「ずっとこういう形でやりたいと思っていた。最後の最後で表に出た。うまくボールを動かすところと、動かさないところのメリハリ」。

 右肩に不安がなくなった今季は、球数を費やしても球を動かし、ベース板を幅広く使う新しい投球スタイルを目指した。この日の最速は142キロ。ツーシーム、カットボールと打者の手元で変化する球をメインに打たせた。左打者の外角ボールゾーンからカットボールが食い込むバックドアや、落差の大きいチェンジアップで三振を奪った。