コーチ陣からの指示もてきめんだった。前日の試合前練習時、打撃順にあるエルドレッドの名前の横に「こんぱくと」と書き、2打席連続弾につながった。この日は松山の名の横にも「コンパクト」と書かれていた。「焦るな」というメッセージでもあった。ベンチ裏でも意識しながら素振りを繰り返し、打席でも「頭にありました。コンパクトに強い打球を打てました」と実践してみせた。

 松山の1発から打者一巡の猛攻で試合を決めた。みんなが松山の初安打に歓喜し、そして勝利への力に変えた。決勝打の丸は「松山さんが苦しみながら練習しているのを見ていたので、うれしかった」と笑った。それが本音だった。チーム一丸で10連勝。2年連続2桁連勝は球団初の快挙だ。個々の技量に加え、結束力の強い組織力。広島の強さは本物だ。【前原淳】

 ▼広島が4試合連続逆転勝ちで10連勝。広島の2桁連勝は昨年6月に11連勝して以来6度目となり、2年連続で記録したのは球団史上初めてだ。これで広島は00年以来の両リーグ10勝一番乗りとなったが、今年はまだ1敗しただけ。1敗以下で10勝に到達したのは02年阪神以来12度目。広島では日本一になった84年以来、33年ぶり2度目になる。広島のように開幕戦黒星後に2戦目から2桁連勝は、開幕の阪神戦に3-5で敗れた63年巨人が2戦目から13連勝して以来、54年ぶり2度目の珍しいケースとなった。