ど根性の逆転勝ちだ!オリックスが土壇場に執念を発揮し、交流戦では10年ぶりの4連勝で単独首位に立った。3点を追う9回2死走者なしから、代打ロメロの6号ソロを口火に4連打で同点。延長11回は安達の1号ソロなどで2点を勝ち越し、追いすがる巨人を振り切った。巨人戦の連敗は6でストップ。今季3度目の5連勝で、借金は4に減らした。さあ逆襲だ。

 土俵際のオリックスに力水を与えたのは代打ロメロだった。3点を追う9回2死。マシソンの155キロ直球を左翼スタンド上段にかっ飛ばした。「とにかく芯でとらえることだけ考えていた。完璧だったよ!」。左膝痛から復帰後は4戦目で初アーチ。福良監督も「あの1発が大きかった。勢いをつけてくれた」とうなるパワーがあった。そこから西野、安達の連打で1点差。そして小谷野も右中間への二塁打で、ついに追いついた。野球は9回ツーアウトから。そんな格言を地でいく同点劇だった。

 こうなると押せ押せだ。延長11回は1死から安達が右翼スタンド最前列に決勝ソロ。1カ月ぶりの3番起用に応えた。「やっと貢献できた。ライトフライかと思った。届いたのは使い続けてくれた監督や、ファンの力」。生え抜きのリーダー格は打率2割以下に低迷し、先月14日には体調不良も重なって2軍降格。だが約10日間の離脱中にT-岡田や駿太らが自らのロッカーから抜き出したリストバンドを使っていたことに、「本当にうれしい」と奮起を誓っていた。2年ぶり4安打で少し留飲が下がった。

 福良オリックスにとっては“因縁”のカードだった。ちょうど2年前の15年6月2日、試合前に森脇前監督が休養。福良ヘッドコーチが監督代行として初采配に臨んだ。この日と同じく東京ドームの巨人戦。その時は3連敗を喫した。

 「覚えとるわ。マイコラスに完封されて、他も1点差やったな…。まだまだ(借りは)返せてないわ」。正式に指揮官となった昨年も大阪で3連敗を喫した。球団にとっても過去5年で巨人戦は2勝15敗1分け。まさに意地を示した痛快な白星だった。

 最後は1点差に迫られ肝を冷やしたが、今季チーム最長4時間37分の死闘を制した。3点差以上のビハインドを逆転勝利は今季初で5連勝。交流戦も無傷の4連勝で単独首位だ。「全員の力だと思う」と話す指揮官の声は、最後まで弾んでいた。【大池和幸】